□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2014年1月17日第50号 ■ ========================================================= 靖国参拝で損ねた日米関係の深刻さと安倍首相の責任の取り方 =========================================================== きょう1月17日の各紙の紙面の中で群を抜いて秀逸なのは毎日新聞の靖国参拝をめぐる日米関係の深刻さを書いた特集記事だ。 関心のある読者はぜひ一読されることをお勧めする。 そこで書かれていることは私が想像していた通りだ。 安倍首相の独りよがりの強行参拝であったこと。 側近はみな懸念を伝えていたが、本気で引き留めようとしなかったこと。 総理が参拝を決めた以上、あとはいかにその衝撃を最小限にするかに腐心し、12月26日の参拝が事前に漏れないように最大の努力をしたこと。 米国の懸念表明は予測されていたこと。だから事前に米国の意向を打診したが、その時表明された米国の強い警戒感に対する受け止め方が甘く、それを安倍首相に正しく伝えなかったこと。 飯島勲に至っては安倍首相に靖国参拝を決行させようとして、米国の反対は強くないなどという間違った情報を与えていたこと。 慌てて年明けに中曽根弘文議員や岸外務副大臣らを米国に派遣して釈明行脚に努めたが、米国の反応は一様に厳しいものであったこと。 それにも拘わらず政府は一定の理解が得られたとウソを繰り返し、メディアがそれに加担したこと。 その典型例がアーミテージの「終わった話」発言に関する報道ぶりであること。 すなわちあの発言は、終わったことだからもうしかたがない。二度と行くな。という厳しい警告であるのに、それをごまかして、許されたと言わんばかりに報道したこと、などなど。 私がこの毎日新聞の特集記事で一番驚いたのは安倍首相が靖国参拝決行の四日前に側近に語ったとされる次の言葉だ。 「参拝で日米同盟が揺らぐなら、そもそも私の(日米)関係強化の取り組みが甘いということだし、それ自体、私の失敗だ」 大した自信だ。 大した度胸だ。 この言葉は、裏返せば、自分のこれまでの対米外交は靖国参拝ごときで揺らぐようなやわなものではない。そんなことぐらいでは揺るがない強固な日米関係を築いて来た。もし米国が文句を言ってくるようであれば、自分のこれまでの対米外交は失敗だったということだ、そう言っているのである。 ならば安倍首相の対米外交は失敗であったことが証明された。 安倍首相はみずから口にした言葉どおり、責任をとって、靖国参拝の失敗を認め、中国、韓国との関係を安倍首相のほうから率先して改善しなければいけない。 それが出来ないならば失われた米国の信頼も取り戻せない。 安倍首相はアフリカに向けて外遊する直前の9日に飛行場でこう語ったという。 「参拝自体が残念ながら外交問題、政治問題化されている。その観点から、今の時点で、今後参拝するかしないか申し上げるつもりはない」と。 そんな言い訳でごまかそうとしてもだめだ。 自らの言葉通り強固な日米関係を築けなかった失敗の責任をとって潔く総理の座を降りるしかないのだ。 そして今度は体調を理由に辞めるわけにはいかない。 あれほど外遊を重ねられる健康体であることを国民に見せつけた。 今度辞める時は、対米外交の失敗の責任をとって辞めると言って辞めるしかない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)