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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

「たしきたかじん」の死に思う
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2014年1月12日第32号 ■     =========================================================                          「たしきたかじん」の死に思う      ===========================================================  人の死は厳粛なものだ。  だから人の死について書くことははばかられる。  しかし、これは故人にまつわる私の個人的体験であることに免じて許してもらうことにする。  「やしきたかじん」の訃報に接して安倍首相のコメントが一部報道で掲載された。  それだけでも異例であるのに、そのコメントはもっと異例だ。  安倍首相は、「尾羽打ち枯らした時」、すなわち首相を投げ出して落ちぶれた時に、救いの手を差し伸べてくれた、という表現で「やしきたかじん」の死を悼んだ。  この意味が分かる国民がどれほどいるだろう。  「やしきたかじん」は、大阪読売テレビで「そこまで言って委員会」という人気番組を持っていた。  タカ派ばかりを集めた政治娯楽番組で、時々呼ばれていた私は、いつも罵倒の対象としての役割を引き受けさせられた。  「やしきたかじん」と一緒に司会をやっていたのが今では有名になったフリーのニュースキャスター辛坊治郎氏であり、常連の出演者には橋下徹氏や故三宅久之氏などがいた。  そして私が出演していたある日の番組で安倍晋三首相が出演して私を驚かせた。  もちろん当時の安倍氏は首相はおろか、自民党総裁に返り咲くはるか前の頃であり、首相の座を投げだした不名誉な政治家としてその将来が危ういと皆が思っていた頃だ。  安倍首相が「尾羽打ち枯らしていた頃」という意味はそういう意味なのだ。  実際のところ安倍氏は自民党では将来はなく、本気で橋下維新の会に移ろうとしていると言われたりした。  私が驚いたのは、そんな安倍氏が「やしきたかじん」の番組に出てきたことだ。  そしてもっと驚いたのはその番組で元首相の言葉とは思えない驚くべきタカ派発言をしていたことだ。  こんな事を言う政治家がよくも首相をしていたものだ、こんな番組に出て、こんな発言をするようでは、安倍晋三という政治家もおしまいだ、と当時私はそう思ってその番組に出演していたことを思い出す。  それから数年たって、そのまさかの政治家が首相になり、まさかのタカ派政治を次々と強行している。  私はその番組の常連のように「やしきたかじん」の仲間ではなく、それどころかおよそ「やじきたかじん」から言葉をかけてもらうことはないまま、その番組から縁遠くなっていった。  「やしきたかじん」の訃報に接してあらためて時代の変化を知った。  安倍首相の哀悼の言葉を知って、番組に出演して嬉々としていた当時の安倍首相を思い出した。     合掌。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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