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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

オバマの安倍不信を決定づけたTPP交渉における日本の迷走
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2013年12月12日第942号 ■   =============================================================                                    オバマの安倍不信を決定づけたTPP交渉における日本の迷走     ============================================================  前回に引き続いてTPP年内妥結失敗が与える日米同盟への影響について書いてみる。  それほど重要であると思うからだ。  きょうの朝日、日経、毎日がこぞって社説で書いている。  日本はTPP交渉の打開に向けて一層の役割を果たすべきだと。  これはTPP交渉の年内妥結が不調に終わったことへの危惧のあらわれである。  その失敗が日本経済に与える悪影響を心配しているのではない。  米国が怒り出して日米同盟関係が決定的に悪化する事を恐れているのである。  TPPが単なる貿易自由化交渉ではなく、アジアの安全保障体制に大きな影響をあたえる政治的な交渉であることを、かねてからメディアは書き立ててきた。  つまりTPPを通じて日米同盟をより強固なものにせよということだ。  日米同盟は何も軍事的関係ばかりではない。  それどころかイラク攻撃以降の米国は軍事力による支配の失敗に懲り、おまけに米国経済の苦境もあって、アジアへの経済覇権を重視しようとした。  断っておくが私は軍事大国としての米国の本質は揺るがないと思っている。  米国のアジア重視は、米国の中東重視やロシアへの警戒を軽視するものではない。  それらに加え、アジアもまた米国の世界覇権にとって重要だということに過ぎない。  これからはアジアへもより重点を置いて向かい合うということだ。  その象徴がTPPだったのである。  そして米国の思惑は、日米交渉で日本に関税の完全自由化を飲ます事ができれば、他の国への圧力も強められるということだった。  日本にコメの自由化という最も困難な自由化を譲歩させたのだから、お前たちも譲歩しろという戦略だ。  そして他の参加国はそんな米国と日本の交渉を固唾を呑んで見ていた。  すなわち日米交渉が日本の譲歩で決着できればTPPもまた決着していたかもしれなかったのだ。  日本もまたその米国の戦略を知ってTPP参加を決め、参加してからというものはTPPの年内妥結に向けて取りまとめ役に終始していた。  農業についても全中JAをカネのばら撒きで篭絡し、年内妥結に向けての国内対策は整ったかのように思えた。  財界がTPPに賛成であることは当初から一貫している。  だから私はてっきり年内妥結の方向で日本はあらゆる努力をして米国に忠誠を尽くすと思っていた。  ところが甘利大臣が1センチも譲らないと言いい、その後をついだ西村大臣が1ミリも譲らないと言って日米交渉が不調に終わった。  同時並行的に行なわれた新興国と米国との交渉も不調に終わり、結局年内合意には至らなかった。  日本の政府内で何が起きたのだろうか。  それは分からない。  しかしはっきりしている事は日本が米国をいたく失望させたことだ。  オバマの命を受けて年内妥結に懸命に努力したフロマン代表はさぞかし日本に対し、いまいましい思いを強めたことだろう。  ただでさえ国内で指導力を失っているオバマ大統領だ。  TPP交渉の失敗はさらなる失点となる。  このまま来年に入ってもTPP交渉が進展しなければTPPのモメンタムは失われる。  米国のアジア重視政策がさらなる打撃を受ける事になる。  そしてこれはただでさえ危うい安倍政権下の日米同盟関係にとって決定的打撃となる。  それを知っているからこそメディアは一斉に書いているのだ。  来年に持ち越されたTPP交渉で、今度こそ日本は打開に向けて指導力を発揮せよと。  日米同盟重視を全面的に掲げる読売や産経は単純だが朝日は狡猾だ。  リベラルを装い、脱原発や中国重視を唱えて安倍首相をけん制する振りをしながら、日米同盟については、米国の代理人のごとく日米同盟の風化をどの新聞よりも強く憂う。  その朝日はきょう12日の社説で、コメなど農産物5項目の「聖域」論にしばられていれば、交渉の進展はおぼつかない、とまで書いて日本も譲歩しろと書いている。  オバマ政権の失望と怒りを知った安倍首相は震え上がり、外務官僚や朝日の忠告を聞き入れて、来年早々のTPP妥結に向けて積極的に動くだろう。  外務官僚と朝日は米国の利益を忠実に代弁するこの国の二大勢力である。  安倍首相は従うしかない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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