□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年12月5日第920号 ■ ============================================================= ヒズボラ幹部の暗殺が示す中東情勢の混迷 ============================================================ きょう12月5日の産経新聞がカイロ発大内清記者の記事として報じた。 すなわちレバノンのイスラムシーア派組織ヒズボラ軍事部門のハサン・ラキース司令官がベイルート南部の自宅近くで銃撃され殺されたと。 これは11月19日にベイルートで起きたイラン大使館に対する大規模爆破事件とともに衝撃的な事件である。 ヒズボラは即座にイスラエルの仕業だと強く非難し、イスラエルの報道官は「イスラエルとは何の関係もない」と事件への関与を否定した。 いつも応酬だ。そしてこの種の暗殺事件の首謀者はイスラエルであると考えるのが常である。 しかし、今回に限っては私はイスラエル首謀説を疑う。 その理由はシリアの内戦に関してアサド政権を支援するイランと、それに反発するアルカイダ系の過激武装組織の抗争が起きているからだ。 レバノンの首都ベイルートで11月19日に起きたイラン大使館に対する大規模な爆発事件を当時大きく報じたのは読売だけだったが、これは衝撃的な事件だった。 レバノンではイラン大使館は大きな存在である。なぜならばイランはレバノンの主要勢力であるヒズボラの支援国だ。 そんなイランの大使館が爆破されるなどということはあり得なかった。 そしてそのようなイラン大使館を爆破できるのはイスラエルぐらいしか考えられなかった。 イランはシリアとともにいまでは数少なくなったイスラエルのパレスチナ政策を公然と批判する国であるからだ。 ところがイラン大使館を攻撃したと当時犯行声明を出したのはアルカイダ系のイスラム教スンニ派武装組織だった。 アルカイダはイスラム教を至上とし、それに反対するあらゆる勢力と敵対する組織だ。 それはとりも直さずアラブ人に対する不正義と戦う組織もである。 オサマ・ビン・ラデンがイスラエルのパレスチナ弾圧に憤った理由もそこにあった。 いまシリアのアサド政権はシリア国民を不当に弾圧している。 アルカイダがシリアの反体制派側のひとつとしてアサド政権打倒のために戦っている理由もそこにある。 ところがイランはアサド政権を支持している。 同じくアサド政権を支持するロシアや中国もアルカイダ系組織のテロを受けるようになった。 つまりシリア内戦でアサド政権を支持する国が次々とアルカイダ系イスラム武装組織のテロ攻撃を受け始めたのだ。 そしてそのイランの手先であるレバノンのヒズボラが今度は何者かに襲われた。 犯行声明はいまだなされていないが、イスラエルではなくアルカイダ系のテロの仕業だと私が思うゆえんである。 米国の最大の脅威は反パレスチナを掲げる、パレスチナやアルカイダのテロだ。 そのアルカイダがもうひとつの反米テロであるイラン系のヒズボラを攻撃し、そのヒズボラの親分であるイランまでも標的にするようになった。 敵の敵は味方のたとえどおり、米国とイランはウラン濃縮問題で歩み寄りを見せ始めた。 対アルカイダでイランと米国が手を結ぶようになれば最大のパラドックスである。 おりしも米国の最大の同盟国であるサウジアラビアが、イラン政府やシリアのアサド政権に生温い米国に反発して反旗を翻そうとしている。 エジプトの軍事政権に対するムスリム同胞団の戦いはますます不穏化しつつある。 中東情勢はどんどんと不透明になりつつあるということである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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