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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

防空識別圏問題で見えた米・中の覇権争いと日本のありかた
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2013年12月5日第919号 ■   =============================================================      防空識別圏問題で見えた米・中の覇権争いと日本のありかた     ============================================================  私は中国が防空識別圏の設定を発表した時から最大の関心を持ってその成り行きを見守ってきた。  そして私の考えをこのメルマガで書いてきた。  その根拠はすべて大手新聞が書く公開情報にもとづくものだ。  たとえば12月4日の読売新聞は日本が米国に対し中国の防空識別圏を撤回させることで一致し、それを共同文書で発表しようと必死に働きかけたけれども失敗した事を次のように書いていた。  「日本側は、副大統領が日本に向かう機中や12月2日深夜の日本到着後も明記するよう働きかけたが、米国は慎重姿勢を崩さなかった」  ちなみにこの点については12月4日の毎日新聞も次のように書いていた。  「今回の会談では共同声明は作成されず・・・報道陣に配布された確認文書にも、識別圏問題や『公海上の飛行の自由』への言及はなく、(これについて)日本政府関係者は『文書で明記しようとすると、(日米間で)複雑な問題が出てくる』と語った」  これらの情報を見る限り米国は日本を軽視しているように見える。  しかし、その事は米国が日本より中国を重視しているかといえばそうではない。  米国は中国を潜在的敵対国として警戒し、これ以上中国のアジアでの軍事的拡大を望まない、そのために中国との不測の事態を避けつつ、米国の覇権を死守しようとしているのだ。その足を同盟国の日本がいたずらに中国を刺激して引っ張るなと言っているのである。  たとえばきょう12月5日の読売は次のように書いている。  「バイデン氏に同行している米政府高官は12月3日、記者団に対し中国側に要求する内容として、二つの点を挙げた。一つは、防空識別圏の運用に当たり、不測の事態を招きかねない行動を自制することだ。中国軍機が防空識別圏内を飛行する他国の航空機に緊急発進(スクランブル)などを行なわないことを意味している。もう一つは、(これ以上)あらたな防空識別圏を設定しないことだ。中国がフィリピンなどと領有権問題を抱える南シナ海で同様の問題を起こさないよう求めるものだ。これは、(今回の)防空識別圏の撤回までは求めないが、実際の運用では現状変更を一切認めず、早期沈静を図る米国の立場を示している」  これに関連し12月5日の毎日新聞もまた次のように書いている。  「中国の識別圏には(中韓間で管轄権争いがある東シナ海の暗礁である)、離於島(イオド)上空が含まれるが、韓国の識別圏には含まれていなかったため、韓国政府は(防空識別圏の)拡大案検討に着手・・・だが域内の緊張激化を望まない米国が難色を示したとされ、バイデン氏のアジア歴訪中は望ましくないと判断した模様だ」  これを要するに米国は防空識別圏の現状を固定化し、その運用を慎重に行なうことで不測の事態を封じ込めようとしているということだ。  日本や韓国が米国のこの方針に従わざるを得ないことは明らかだ。  問題は中国の対応である。  この点についてはバイデン副大統領の訪中の結果をめぐる報道の中で徐々に明らかになってくると思われるが、すでにこれまでの報道でも分かる。  バイデンと中国側の今度の話し合いは、これから末永く続く米中の軍事的覇権争いの始まりであるということだ。  いまは、中国は米国に譲歩するだろう。  米中融和が必要なのは、いまは米国より中国のほうだ。  それを示すのが今回のバイデン訪中時の米中会談の結果である。  しかしこれから何十年先になるとどうなるかは分からない。  すべては米国と中国の国力の伸張にかかっている。  どちらも国内に大きな問題を抱えている。  しかし必死になってそれを克服し、米国は世界のリーダーを保とうし、中国はその米国に追いつき追い越そうとするだろう。  日本にとって重要な事は、軍事覇権を競い合うそのような米中と距離を置くべきであるということだ。  今度のバイデンの訪中で中国は二つの大国という言葉を繰り返し使っている。  このような大国意識を全面的に打ち出す中国もまた大きな誤りを犯している。  日本はその誤りをこそ指摘しなければいけない。  しかしそれが出来るのは憲法9条を掲げる日本でしかない。  安倍首相の日本では、米国に従属するか、軍事大国を振りかざす中国に敵対するしかない。  いずれも行き詰まる。  それが今の日本である。  誰かがそれを国民に分からせなければいけない。  そのことが出来る政治家があらわれてこの国を指導していかなくてはいけない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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