□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年12月3日第917号 ■ ============================================================= シリア和平会議で試される米国の外交力と日本の限界 ============================================================ 国連主催のシリア和平会議が来年の1月22日に開かれることがようやく決まり、岸田外相が出席する意向を固めたと読売新聞が報じたのは11月27日であった。 私はこのニュースに注目した。 なぜならばこの会議でオバマ政権の対中東外交力が再び試されることになるからだ。 そして米国に従属するしかない日本の無能さが浮き彫りになるからだ。 シリア問題に関するロシアと米国の外交合戦でオバマ外交が敗れた事はいまとなっては衆目の一致するところだ。 オバマの失態は、シリア攻撃宣言をあっさり撤回し、大統領が持つ戦争行使権をおとしめた事だけではない。 アサド政権を排除できないところにある。 そしてシリアの化学兵器廃絶さえも十分に達成できないところにある。 いまでは化学兵器廃絶の責任をシリアやロシアではなく米国と国連の仕事のようにさせられている。 こんな馬鹿な事はない。 ロシアとシリアの外交力の勝ちであり米国の外交の敗北だ。 その米国とそれに追随する日本がシリア和平会議でどう対応するのだろうか。 再び敗れる。そしてシリア情勢のさらなる混迷が続く。 難民支援の援助だけが成果として報じられ、いつものように日本が大盤振る舞いさせられて終る。 私がそう確信したのは、きょう12月3日の朝日新聞が掲載したシリア攻撃前夜のロシアと米国の駆け引きの舞台裏に関する「非情世界 仁義なき情報戦争」と題する調査報道を読んだからである。 そこにはこれまで誰も書かなかった米・ロの駆け引きと米国の敗北が見事に描かれている。 この朝日の調査報道は近年まれにみる見事な調査報道だ。 このような調査報道ができる以上朝日新聞もすてたものではないということだ。 その詳細は朝日の記事に委ねたいが私が注目したのは次のくだりだ。 すなわち9月5日、ロシアからアルゼンチンに向かう政府専用機の中で外務省からアサドが化学兵器を使った証拠を示す米国の情報を聞かされた安倍首相は、シリア非難を発表した。 しかしシリア攻撃ついては度重なる米国の要求にも関わらずイラク攻撃の後遺症で決断できなかった。 米国は、化学兵器使用はアサド政権の仕業であるという更なる情報を提供して日本につめよる。日本は米国を支持すると最終的に米国に伝えると米国の日本に対するアプローチはぱったりと終る。 ところがオバマ大統領は攻撃を踏みとどまることになる。 そのかわりに条件としてシリアの化学兵器全廃を提案する。 「まさかロシアとシリアは応じまい」と踏んだのだ。応じない場合は攻撃やむなしと世界も思うだろうとオバマやケリーは考えたのだ。 ところがその裏をかいてロシアとシリアはあっさりと同意した。 これで米国はシリア攻撃を完全に出来なくなった。 この間のやり取りを日本は米国から一切知らされなかったというのだ。 米国の「極秘情報」に基づいて、アサド政権批判を行ない、最終的に軍事介入容認に傾いた日本は、はしごを外されることになる。 米国はその後、偵察衛星や盗聴、内通者からの情報によってアサド政権が化学兵器に関する証拠を改ざんしていた事実もつかんだがあとの祭りである。 もちろん日本はそのことについても何も知らされなかった。 シリア情勢についてわがシリア大使館がまともな仕事をし、アサド政権とのパイプを持っていたなら、日本は米国にふりまわされずに、自主的な判断が出来たはずだ。 もっと積極的にシリアの和平にも参加できるはずだ。 しかしすべては米国の情報と米国の政策に従ってきた。 その米国が敗北したとき、日本外交は大失敗となる。 シリア和平会議はその事を見事に示してくれる会議になるに違いない(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

新しいコメントを追加