□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年11月18日第862号 ■ ============================================================= 新入札制度をめぐる騒動を対米外交の観点から考える ============================================================ 米大リーグ機構(MLB)が新入札制度(ポスティングシステム)を取り下げ、あらたな修正案の提案をした事で、協議は振り出しにもどり田中将大投手のメジャー行きが危うくなったと大騒ぎだ。 この問題の背景には選手と球団の関係や、高くなり過ぎた移籍料をめぐる米球団内部の対立など、もっぱらドラフト制度に関わるカネの問題があるらしい。 しかし私は大胆にこれを日米の外交関係の現実になぞらえて考えることにした。 MLBと日本野球機構(NPB)の交渉といえば、WBCをめぐる利益配分の不平等問題が頭に浮かぶ。 すなわちMLB側が不当に多くの利益を取る現状を許すNPBに反発し、そのような不平等な条件を飲むならWBCボイコットも辞さないと選手側が騒いだ事件だ。 その時私は2012年7月20日のメルマガ第552号で「対米従属に異議を唱えたプロ野球選手会に乾杯!」と書いた。 今度の問題も根底には選手の新入札制度に対する不満がありそれが交渉の遅れにつながった。 板ばさみに立ったNPBがモタモタしている事に腹を立てたMLBが、まとまりかけていた新入札制度案を白紙にして新提案を行なった。 その怒りは選手会への怒りというよりも、それを押さえつけられないNPBのもたつきに向けられていたと思う。 そしてこのような米側のいらだちのサインを見過ごし、危機感を抱かずに米側への返答を遅らせていたNPBの責任がこの問題を大きくさせたに違いない。 それでは今後はどうなるか。 私は結局日本側が不平等な条件を飲まされて決着すると思う。 その不平等な条件を日本の球団と選手でどう分け合うかという問題になると思う。 なぜそうなるのか。 それは日本側に不平等な条件を飲まざるを得ない理由があるからだ。 これを11月12日の東京新聞スポーツ面に掲載されていたスポーツライター小川勝の「直球タックル」という記事が見事に見抜いていた。 すなわち小川氏はこう書いている。 確かに新入札制度は日本の選手や球団が受け取る移籍金が少なくなるという不平等性がある。しかし米国球団に移籍したい選手が日本側に多いのに対し米国球界には日本に来たいと思う選手はいない。このような実情があるかぎり不平等な協定を飲まざるを得ないのも仕方がない面がある、と。 いまMLBを米国政府、NPBを日本政府にたとえれば選手会はさしずめ日本国民だ。 そして今度の新入札制度をめぐる交渉を日米同盟下における日米交渉になぞらえて見るとこうだ。 理不尽な米側の要求に反発するのはいいが、それには覚悟がいる。 日本政府は不平等な扱いに対する日本国民の不満を無視できず米側と交渉するが最後は米国に恫喝されて国民に犠牲を強いる形で押し切られる。 日本国民の中にはそれに反発を覚える者もいるが、大多数は米国が好きだから不平等でも仕方が無いと受け入れる。 田中将大選手が米国移籍を望み、日本国民が大リーグでの田中投手の活躍を見たいなら不利な新入札制度についても早く合意させたいのである。 新入札制度をめぐる日本側の葛藤は我が国の対米外交交渉の葛藤そのものである。 「日米同盟から自立せよ」といくら私が叫んでも国民の間には通用しないはずである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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