□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年11月11日第845号 ■ ============================================================= 海軍が残した資料群が教えてくれる事 ============================================================ 少し前の記事であるが、10月12日の毎日新聞に掲載されていた「保阪正康の昭和史のかたち」に書かれていた史実は、特定秘密保護法案が成立させられようとしている今、極めて示唆に富んでいる。 保阪氏は昭和の陸軍と海軍を比較したとき、もっとも大きいな違いは歴史と向き合う姿勢にあるとして次のように述べている。 すなわち海軍が太平洋戦争の指導にあたった軍人たちの証言を丹念に残しているのに対し、陸軍はほとんど残していないという。 当時の政治・軍事指導者たちは事実が明らかになって処罰をおそれるあまり国家機密の末端に至るまで関係文書の償却を命じた。 その事を考えると海軍の指導者は立派であったというわけだ。 しかし、保阪氏は海軍を褒めているだけではない。 ここからが保阪氏のこの記事のポイントである。 戦後社会にあっては一般的に「海軍善玉論、陸軍悪玉論」が幅を利かせているが、それもこうした海軍の資料を残す歴史的責任感とそうでない陸軍の違いであると保阪氏は言う。 そう書いた上で保阪氏は続ける。 「私は作家の半藤一利氏と詳細に分析したのだが、(海軍)将官たちの証言には確かに海軍史の書き換えを迫る内容が含まれていた」と。 そして次のようなエピソードを紹介している。 すなわち井上成美が海軍省次官に就任して間もなく米内海相から「陛下が燃料の現状を御下問になったので奉答のための資料を」といわれ、軍需局長にそれを命じた時のことだったという。 軍需局長は井上次官に「本当の事を書きますか」と答え、「実は嶋田大臣のときはいつもメーキングした資料を作っておりました」と続けたというのだ。 そして保阪氏は次のように書いている。 「なんのことはない。海軍大臣は都合の悪いことはすべて偽りの数字を並べて、昭和天皇に奉答していたことになる。『天皇の軍隊』の腐敗の一面が明かされている」と。 この保阪氏の記事が教えてくれているものは何か。 それは責任をおそれて記録を隠滅するよりも、自分に都合にいい事を記録にとどめるほうが「賢い」という事である。 そして、それは当人にとっては責任逃れ、自己正当化、になるが、結果としてその情報操作が多くの国民を不幸に陥れる大罪を犯す事になるという事である。 特定秘密保護法案が出来てしまえば、このような情報操作が権力内部で行なわれても国民の目には見えなくなる。 なによりも保阪氏が教えてくれたこのような興味深い史実をもはや国民が知ることはできなくなるのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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