□□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年11月3日第826号 ■ ============================================================= 戦時徴用賠償命令に対する新日鉄住金と三菱重工の対応の違い ============================================================= 韓国の光州の地裁が11月1日、三菱重工に対し戦時中に強制労働をさせた韓国人女性と遺族に損害賠償支払いを命じた。 この日本企業に対する韓国裁判所の相次ぐ賠償命令判決は、慰安婦問題とならんで日韓両政府の間のもっとも厄介な政治・外交問題であるに違いないが、その事についてはここでは書かない。 私が注目したのはその判決に対して見せた三菱重工の対応だ。 すなわち三菱重工はこれを不当な判決でまことに遺憾だとして速やかに控訴手続きをとる考えを明らかにした(11月2日各紙)。 三菱重工のこの対応は、同じ訴訟を争っている新日鉄住金が3ヶ月前に見せた対応にくらべればはるかに強硬だ。 すなわち8月18日の産経新聞は新日鉄住金の対応を次のようにスクープ報道したことがあった。 判決にはまったく納得できないが国家間で締結された協定が反故にされては一企業ではもはや対応は出来ない、だから企業の論理を優先させて個別補償に応じる他はないと腹を固めてといういうのだ。 企業の論理とはこういうことだ。 補償支払いを拒否すれば韓国内の保有株・債権や売掛金などの差し押さえを受ける可能性が高まり、日本の商社を含め多くの取引先に迷惑をかけることになり、企業のイメージも大きく損なわれる。原則論で争うよりも個別補償に応じたほうが得策だということだ。 しかし、この新日鉄住金の対応は日本政府の方針に反することだ。 そんな事をすれば政府の怒りを買い、右翼の反発は凄まじいだろう。日本政府は一企業をそこまで追い込んではいけない。そう私は8月18日のメルマガ第620号で書いた。 それから3ヶ月たらずがたち三菱重工のこの強硬な対応だ。 個別補償のことなど口が裂けても言わないという感じだ。 ここからは私のまったくの推測だが、安倍政権から日本企業に強い圧力がかかったのではないか。 日本政府が原則論で突っ張っているのに日本企業が企業の論理でハシゴを外すようなことをやっては国益を損なう、論外だ、と。 その私の推測を裏づけるように11月2日の日経新聞に浅田正彦・京大教授の次のようなコメントが載っていた。 すなわち一番やってはいけないのは、日本政府や企業が賠償を行なうことだ。請求権協定ですべてが解決したのではないとみずから認めることになる。雪崩を起こしたようにあらゆる問題が再燃するだろうと。 果たして安倍政権は日本企業に圧力をかけたのだろうか。 新日鉄住金は態度を一変させるのだろうか。 しかしたとえ安倍首相が日本企業と一緒になって1965年の基本協定で解決済みだと突っぱねて続けても、それだけでは問題は何も解決しない。 どういう解決法が見出せるかは別として、この問題は日本政府が韓国政府と話し合ってこそ解決できる問題である。 それが分からないようでは安倍政権には韓国との関係改善は不可能ということだ(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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