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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

慰安婦問題に関する朝日の大スクープとその限界
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2013年10月13日第760号 ■   =============================================================   慰安婦問題に関する朝日の大スクープとその限界     =============================================================  きょう10月13日の朝日新聞は一面と二面を割いて慰安婦問題についての日本政府のダブルスタンダードについて一大スクープ調査記事を掲載した。  すなわち宮沢政権は一方において河野談話で日本が慰安婦問題を認め、謝罪し、更なる調査を行うと発表しておきながら、その一方で、聞き取り調査を行うどころか騒ぎがこれ以上アジアに広がらないように日本大使館を通じて慰安婦問題の拡大阻止の工作をしていたというのだ。  私がこのスクープを評価するのは、朝日がこのスクープ記事を外務省が情報公開した極秘公電を丹念に読み解いて、それに基づき関係者への取材を重ねて記事にした事である。  調査報道の真髄がここにある。  情報公開された機密文書は情報の宝の山であるということだ。  どんなに外務省が注意して極秘文書を精査し、これなら大丈夫と思って公開しても不都合な情報を公開してしまうことは避けられないということだ(実はそんな質の高い仕事をすることなくいい加減な判断で公開して後で後悔する、その繰り返しであるほうが当たっていると思う)。  実は私も朝日の記者からこの件で取材を受けた一人である。  当時私は在マレーシアの公使をしていたということで取材対象になったというわけだ。  私のことだから知っていればすべて話しただろう。  しかし外務省が工作を始めたのは私がマレーシアの日本大使館を去った後だったから取材に答えられる情報は持ち合わせていなかった。  その取材の時、朝日の記者が見せてくれた膨大な機密解除の公電を見て驚いた。  紛れもない極秘電報のコピーの数々である。  かつての同僚たちの名前が並び、かつての同僚たちの書いた報告電がすべて公開されている。  この朝日のスクープ調査記事が教えてくれている事は、朝日が書いているように、河野談話を発表した宮沢内閣でさえ、本気で慰安婦問題を調べ、解決しようという政治的覚悟がなかったということだ。  以来この国の慰安婦問題についての政治的決断のなさは今日まで続いている。  そして、慰安婦問題について最も熱心に取り組んでいる朝日新聞でさえも、慰安婦問題についての根本的解決を提示できないでいる。  ここからが、このメルマガの本旨である。  このスクープ記事にタイミングを合わせ、きょうの朝日はその社説で「慰安婦問題 政治の意思があれば」と題して、まぼろしに終った野田民主党政権と李明博政権次代の政治決着について書いている。  政治的決着が両政権の交代で合意に至らなかった事を残念だといい、安定した政治基盤を持つ安倍政権こそ政治決断をすべきだと書いている。  そこまではいい。  しかし朝日は何が政治決断であるかを一切語らない。  それどころか日韓政府関係者から取材したまぼろしに終った野田・李明博政権下の政治合意案を引用し、それを評価している。  すなわち駐韓日本大使が元慰安婦に会って謝罪する。  それを受けて日韓首脳が首脳会談を開き、日本側が政府予算を原資とする償い金などの人道的措置をとる。  これである。  10月8日の朝日新聞紙上で斉藤つよし元民主党官房副長官が自慢気に語っているまぼろしの政治合意(10月9日メルマガ第750号参照)の焼き直しである。  これではいままでの解決策とほとんど変わらない。  こんな中途半端な案で朝日は慰安婦問題が解決されると思っているのだろうか。  李明博政権はこんな中途半端な案で韓国国民を満足させられるとでも本気で思っていたというのか。  日韓間に横たわる歴史認識問題は慰安婦問題だけではない。  日本の占領下にある韓国国民に対する個人補償問題にまで発展している。  韓国政府は韓国最高裁判決によって日本との再交渉を求められている。  おりしも慰安婦問題については、韓国女性家族相が国連総会第3委員会(人権)で日本の法的責任を追及し、米国各地には韓国ロビーによって慰安婦像がつくられあたかもナチスの犯罪の如く日本の罪が未来永劫に糾弾されるがごとくだ。  こんなことを日本政府が放置していてはいけない。  将来の日本国民のためにも、今の政府は嵐が過ぎ去るのを首をすくめて待つような真似を繰り返してはいけない。  もはや中途半端な解決は許されないのだ。  朝日は安倍政権に、いまこそ原点に立ち返って日韓基本条約の再交渉を始めるべきだと詰め寄るべきだ。  再交渉が困難な事であることは事実だ。  しかしそれは韓国政府にとっても同様である。  再交渉が日本にとって不利になるだけではない。  韓国もまた譲歩を迫られることになる。  これまで日本が韓国に行なってきた正負の両面を総合的に判断し、それを新たな国家間の合意に反映すればいいのだ。  それは時間のかかる厄介な交渉になるだろう。  しかしもはや健全で公平な日韓両国関係を築く事にはそれしかない。  そしてそれこそが安倍首相が提唱しているところの戦後レジームのチェンジなのである。  日韓関係の正しい形を安倍政権に提示できない朝日新聞は、どんなスクープ記事を書いてみたところで日本の国益に資するメディアとはならないことを知るべきである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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