□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年10月12日第759号 ■ ============================================================= 「核不使用声明に賛成した日本」報道の裏にある壮大なごまかし ============================================================= 唯一の被爆国である日本が「核の非人道性」を謳った共同声明に賛成しなかった。 このわが目を疑う衝撃的なニュースが日本国民に知れわたったのは、今年4月にジュネーブで開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議準備委であった。 そのことを私は4月26日のメルマガ第300号「核廃絶の共同声明参加を拒否した日本」で書いた。 それから半年がたち、きょう10月12日の各紙がいっせいに報じている。 岸田文雄外相は11日の記者会見で核不使用の共同声明に賛同する方針を表明したと。 これだけを見ると、ついに日本は核廃絶に賛成する平和路線に大転換したと思いがちだ。 ところがその報道をよく読むとその欺瞞が見て取れる。 日本が核廃絶声明に賛成してこなかった最大の理由は、それが日本の安保政策の根幹である「米国の核の傘」による抑止と矛盾するからだ。 つまり「いかなる状況下でも核兵器が再び使用されないことが人類生存のためになる」という文章の、「いかなる状況下でも」という文言が、「米国の核の傘」に反するから削除を申し入れ、受け入れられなかったから4月のときは参加を見送った。 ところが今回の共同声明は、文言の修正により我が国の立場と矛盾しないから署名したという。 何の事はない。「米国の核の傘」を最優先する立場は変わらない。 これまでの方針と同じにも関わらず、あたかも核全廃に方針転換したと思わせる記者会見を行なうところに、官僚に踊らされた岸田外相の欺瞞がある。 しかし私が欺瞞であるというのはそのことではない。 この岸田外相の記者会見と、それをそのまま垂れ流す報道の裏に隠されたもっと壮大なごまかしがある。 それを喝破するのがこのメルマガの趣旨である。 岸田大臣は「適切な修正がなされ、全体の趣旨を精査した結果、我が国の立場からも支持しうる内容と判断した」と記者会見で語ったという(10月12日朝日) ところがどの報道もどう修整されたのかその文言への一切の言及はない。 無理もない。公表前だからという口実で外務省が共同声明案を発表しないからだ。 ところが今朝(10月12日)のNHKがその不公表の声明案を独自に入手したとして、スクープ報道した。 それによれば声明案はあらゆる核兵器の廃絶を謳っている。 それを素直に読めば米国の核廃絶さえも含まれるのである。 賢明な読者なら私が何を言おうとしているか、もうお分かりであろう。 つまり外務省は「米国の核の傘」と矛盾するおそれのある文言であっても、それが我が国の立場と矛盾しないと勝手に強弁して署名に回ったのだ。 いいかえれば4月の時点であっても、そう解釈して賛成に回ることはやろうと思えば出来たのにしなかった。 なぜ政府・外務省は方向転換したのか。 それは、2014年以降に相次いで予定されている核軍縮関連の国際会議で、これ以上反対し続けたら国内・国外の批判に耐えられなくなると判断したからだ(10月12日東京新聞)。 実にいい加減である。 そんないい加減な解釈や判断が許されるのも、外務省が情報を公開せず、国際文書の解釈権を一人占めしているからだ。 「いかなる状況下でも」という表現が「米国の核の傘」に反すると言って反対し、こんどは「あらゆる核兵器の廃止」でも「米国の核の傘」政策と矛盾しないと言う。 私が今度の「核不使用声明に賛成した日本」報道の裏にある壮大なごまかしという理由がここにある。 10月12日の産経新聞はこう書いている。 「(共同)声明は17日にも国連総会第一委員会(軍縮)で公表される見通し。ただこれまでの日本政府の安全保障政策との整合性について議論を呼びそうだ」 よく分かっている。産経新聞は正直な新聞だ。 はたしてこの問題が17日以降正面から議論されるのだろうか。 おそらくメディアは見て見ぬ振りをするだろう(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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