□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年10月9日第749号 ■ ============================================================= 日本にはTPP妥結の指導力を発揮することなど出来はしない ============================================================= オバマ大統領の欠席で年内妥結のモメンタムが一気に失せてしまったTPP交渉だが、TPP推進を唱え続けてきたメディアは日本が米国にかわって指導力を発揮すべきだなどとさかんに書き始めている。 そして安倍首相はそれを唱え出している。 しかし安倍首相にはそれは無理であるし、その資格もない。 というよりもこれまでの日本の延長では日本にはその役割は無理なのである。 なぜか。それを指摘するのがこのメルマガの目的である。 今回の報道が教えてくれたことはTPP交渉の最大の対立点は、関税撤廃をめぐる対立というよりも、経済自由化をめぐるあらたな国際ルールづくりにおける先進国と開発途上国の対立なのである。 そしてこれこそがWTOが行き詰まった最大の理由であり、だからこそ米国がWTOに変わってあらたなルールづくりとしてのTPPを推進した理由なのである。 その始まりは1980年代に始まったWTOの前身であるGATTの変貌にある。 当時私はジュネーブの日本政府代表部に勤務して国連貿易開発会議(UNCTAD)を担当していた。 開発途上国の経済的困難が国際的な協力によって解決されない限り、世界の平和や繁栄もあり得ないとの考えに基づいてできたものだ。 その一方でジュネーブにはGATTの本部があり日本政府代表部の主流はGATT交渉を担当していた。 そしてその時まさにGATTが歴史的転換期を迎えていた。 すなわちそれまで先進国が中心となって世界の自由貿易ルール作りをしていたGATTに開発途上国の加入が認められ、先進国主導のGATTがにわかにUNCTAD化したのだ。 これでGATTは駄目になると嘆いていたGATT担当の同僚たちを今思い出す。 つまり開発途上国の意見を聞いていてはまとまる物もまとまらないということだ。 ルールは先進国が決めて世界はそれに従えばよいという考えである。 実際のところGATTはさらに加盟国が増えWTOとなって交渉そのものがまとまらなくなった。 その行き着く先が、WTOを先導するかたちのTPPによる世界経済自由化のルールづくりなのである。 しかし開発途上国の地位は向上し、もはや先進国が開発途上国を従わせるということは出来なくなった。 WTOを否定してTPPに変えることなど出来ないのだ。 それはあたかも国連を牛耳っている安全保障理事会が総会の決議を無視し得ないのと同じである。 今度のAPEC首脳会議も共同声明でWTOの交渉再開の重要性に言及されたのはその証拠である。 そういう状況の中で米国に代わって日本がTPP妥結の指導力を発揮することなどでるはずはない。その資格もない。 思えば日本は開国以来、脱亜入欧、富国強兵路線に終始した。 遅れて国際社会に入った日本が欧米と対等になる国を目指すまでは良かった。 しかし日本はそれを開発途上国の発展とともに行なうべきではなかったのか。 少なくとも開発途上国の犠牲の下でそれを目指すのは間違いだったのだ。 今でも日本は国連常任理事国入りに躍起になっている。 この事が示すように、日本は変わっていない。 安倍首相に限らず、いまの日本である限り、日本がTPPの妥結に向かって指導力を破棄する事は困難である。 世界の多くの国がそれを許さない。 今度のAPEC首脳会議をめぐる報道は中国の存在感が際立ったという報道が盛んになされている。 中国もまた米国やロシアと並んで覇権国家であり、その正体はしっかりと見届けなければならないが、少なくとも中国は一貫して開発途上国の側に立ってきた。 世界における日本が世界における中国に勝てない理由はそこにある(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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