□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年9月4日第661号 ■ ============================================================= 追い込まれているのはアサドのほうである ============================================================== シリア攻撃をめぐるオバマ大統領と米国議会の攻防の報道を見ていると、武力行使の決断をめぐる深刻さと、国際政治の現実を目の当たりにして、私は元外交官として強い興奮を覚えざるを得ない。 おそらく今度のシリア空爆は、それが行なわれても行なわれなくても、そしてそれが成功に終っても、中東の更なる混乱につながっても、歴史に残る一大分水嶺として現代史に残るものになるだろう。 それほど重大な意味を持つオバマの決断だと私は思う。 オバマは議会の決断を求めると急に言い出した。 その背景には英国議会がシリア攻撃を拒否し、キャメロンがオバマ支持を断念せざるを得なかった衝撃があったと報じられている。 オバマの受けた衝撃は確かに大きかっただろう。 しかし私は米国議会との関係でオバマが追い込まれたとは決して思わない。 オバマ大統領は、米国議会の承認を求める事にした事を発表する直前に、困惑する側近を前にこう語ったという(9月4日産経) 「議会も軍事行動への賛否を明確にすべきだ」 オバマは大統領の独断でシリア攻撃をはじめることができたのに、あえて独断で議会の承認を得る事にした。 これはオバマの議会に対する最強の反撃なのだ。 武力介入に反対するだけでシリア情勢の解決策を語らない議員たちに対して、それならこの非人道的状況をどうすればいいと考えるのか、と迫ったのだ。 攻撃に反対する議員の言い分を聞いてみると、どれもシリア情勢の解決を本気で考えているものではないことがわかる。 イラクのような泥沼に入る愚を避けるべきだ、アサドが化学兵器を使った証拠が十分でない、アサド政権の弱体化に役立つのか、中東の更なる混乱が起こり結果的に米国が危険にさらされるのではないか、などなど。 いずれもシリアへの軍事介入反対の積極的な理由にはならない。 ましてや軍事不介入に代るシリア情勢の解決策など皆無だ。 その一方でオバマは限定的な武力行使のためにはどのような決議案の修正にも応じる弾力性を示している。 これを要するに追い詰められているのは米国議会のほうだ。 そして米国の軍事介入を拒否した英国の野党議員もまた高揚感はないはずだ。 もっと言えば追い詰められているのはロシアのプーチンの方だ。 プーチンはかつて6月のG8サミットでアサド政権を擁護したが孤立した(9月4日日経)。 いま「平和的解決」を訴えるだけで、欧米やアラブ諸国の支持をプーチンが得られるとしたら驚きである。 しかし、なんと言っても一番追い詰められているのはアサドである。 アサドはこのところしきりに米仏が軍事介入すれば報復すると言い、そうすれは中東は混乱する、混乱すれば誰も制止できない、過激派が台頭する、と言い出している。 それを言うようではお終いだ。 アサドが報復し、中東を混乱させ、反米過激と組むような挙に出れば、米国は一変する。 自らの安全が脅かされるようになったとたん米国は容赦しない。 米国議会も米国世論も、一転して結束し、アサドのシリアを徹底的に攻撃する。 米国が本気で戦ったらシリアはたちどころに「石器時代」に逆戻りさせられる。 国際世論などお構いなしだ。 それが米国だ。 サダムフセインの愚かさは、勝てもしない米国との戦争を挑発し続け、米国に先制攻撃の口実を与え、そして罪のないイラク国民を巻き添えにして自滅したことだ。 いままさにアサドはその愚を繰り返そうとしている。 追い詰められているのはアサドである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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