□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年8月19日第621号 ■ ============================================================= TPP交渉の年内妥結を米国に約束した茂木大臣の対米従属振り ============================================================== 8月16日の朝日新聞は、22日からブルネイで始まるTPP交渉会議に向けて15日に開かれた関係閣僚会議について報じていた。 TPPを総合的に担当する甘利明大臣はその会議後の記者会見で次のように述べたという。 「(年内妥結は)なかなか厳しいと思うが、日本も最大限努力する」と。 この発言だけでは甘利大臣の真意は不明だが、私はこの甘利発言はよくできた発言だと思って読んだ。 私がそう解釈する理由はこうだ。 もはや、TPP交渉の年内妥結は困難であることはマレーシアやシンガポールの代表らが繰り返し口にし、それらが報じられてきた。 これは日本が交渉に参加する前から明らかになっていたことだ。 すなわちTPP交渉は日本が入る前から、各国の利害が対立して合意が遅れていたのである。 そしてTPP交渉の停滞は、遅れて参加した日本にとって決して悪い話ではない。 それは朝日新聞のその記事さえも次のように認めていた。 「・・・交渉の遅れはプラスになる面がある。これまで参加国が積み重ねてきた協定の中身を精査し、国内対策を練る時間をかせげるからだ・・・」 誰が見てもそう考えるだろう。 おまけに日本は国内にいまだ根強いTPP反対論を抱えている。 TPP交渉が遅れ、そのうちその他の地域貿易交渉も本格化するようになれば、やがてTPPの必要性が薄れていって自然消滅することさえありうるのだ。 しかし、日本がそれを率先して言うべきではない。 ただでさえ交渉の遅れを日本のせいにされかねない。 だから年内交渉の妥結に日本も最大限の努力をするとリップサービスしておけばいいのだ。 果たして甘利大臣の発言は、そこまで考えた上での発言なのか。 そう思っていたら茂木敏光経済産業大臣が来日中のフロマン米通商代表部(USTR)代表にとんでもない約束をした。 きょう8月19日の各紙が一斉に報じている。 TPPの年内妥結に向けて日米協力で一致したというのだ。 これはとんでもない越権行為だ。 茂木大臣は経済産業大臣に過ぎない。日本政府を代表してTPP交渉について発言出来るのは甘利TPP担当大臣だけである。 そもそも経済産業省が所管している産業はいち早く関税を自由化した産業ばかりだ。 財界と一緒になって関税自由化を進める立場の省庁だ。 しかしTPP交渉には農産品など保護すべき分野も多い。 そしてそれら品目の所管省庁は農水省など各省に及ぶ。 経済産業省の大臣に過ぎない茂木大臣が、TPP交渉の年内妥結に向けて日米協力を約束するなどということは越権行為も甚だしいのである。 そもそもTPPの年内妥結を急いでいるのは米国だけだ。 来年の中間選挙に向けて、オバマ大統領は国内的に実績を作りたいのだ。 他の参加国にとっては急ぐ必要はない。 急ぐあまり国益を害してまで譲歩する必要はないのだ。 そして、それは日本にとっても同じである。 あくまでも国益追求を第一にし、国益が守られるまでTPP交渉を粘り強く続ければいいのだ。 それはわが国がこれまでの自由貿易交渉でやって来たことだ。 甘利TPP担当大臣はフロマン米通商代表とどのような会談をするのだろうか。 その結果がもうすぐ大きく報道されることになる。 その前に書いておきたい。 果たして甘利TPP担当大臣はフロマン代表との会談では国益を第一にして巧みに米国の要求をかわすことができるのだろうか。 それとも茂木大臣と同様に、米国に迎合して年内妥結で日米協力することで一致するのか。 私は甘利大臣もまた対米従属的な対応に終始するのではないかと思っている。 もしそうなら、茂木大臣も甘利大臣も、そしてそれらを主要閣僚にしている安倍首相も、はじめから対米従属であったということだ。 TPP交渉は国益追求より米国迎合が優先されるということである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

新しいコメントを追加