□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年8月18日第620号 ■ ============================================================= 日韓基本条約の見直しを迫る新日鉄住金の個別賠償の動き ============================================================== きょう8月18日の産経新聞が一面トップで大スクープを掲載した。 日本統治時代に日本で戦時徴用された韓国人4人が、未払い賃金などの個人補償を求めて新日鉄住金を相手取って起こした訴訟で、もし韓国の最高裁が新日鉄住金の敗訴を確定したなら、新日鉄住金は賠償に応じる意向を固めたというのだ。 これは安倍政権にとって衝撃的な動きである。 周知のとおり1965年の日韓基本条約で、個人補償については日韓両国政府で合意した有償・無償の計5億ドル供与で「完全かつ最終的に解決された」と合意された。 当時の朴政権はそれを認めた。 これが日本政府が個人補償を拒む理由であり、条約上はその通りである。 ところが新日鉄住金は、判決にはまったく納得できないが国家間で締結された協定が反故にされては一企業ではもはや対応は出来ないと、企業の論理を優先させて個別補償に応じる事にしたのだ。 これは私企業にとっては苦渋の選択に違いない。 支払いを拒否すれば韓国内の保有株・債権や売掛金などの差し押さえを受ける可能性が高まる。 「日本の商社を含め多くの取引先に迷惑をかけることになれば影響ははかり知れない」から応じざるを得ないのだと関係者は言う。 その一方で、個別補償に応じるということは日本政府の方針に反することだ。 おまけに支払いに応じれば日本国内の右翼の反発は凄まじいだろう。 日本政府は一企業をここまで追い込んではいけないのだ。 事態がここまで来た以上、もはや日本政府の責任は免れない。 韓国政府に対し、1965年の日韓基本条約の見直し交渉を、日本の方から申し入れるのだ。 早やければ早いほうがいい。 それは過去半世紀にわたる日韓関係の見直しにつながる一大交渉だ。 しかし韓国側の動きを見ればそれはもはや避けて通れないのだ。 そしてその作業はひとり日本政府の問題ではなく、韓国政府の問題でもある。 韓国政府もまた困難な作業を迫まられるのである。 その交渉は日韓関係の過去と未来を規定する交渉になる。 時間のかかる一大政治交渉となるだろう。 両国民の監視の下で行なわれる交渉になる。 しかし少なくともこの交渉がまとまるまでは、慰安婦補償問題を含めあらゆる個人補償問題は凍結されることになる。 産経新聞の報道によれば、外務省北東アジア課は「『賠償の必要はない』という認識で国と企業は一致していると考えている。訴訟は係属中で、判決確定や試算差し押さえ後の対応について、仮定の話は出来ない」と応じたという。 外務省の官僚の応対としてはこれしか言い様がない。 しかし事態は動く。 結論は見えている。 韓国の最高裁判決は新日鉄住金の敗訴を確定し、新日鉄住金は資産差し押さえを命じられ、それを回避するために新日鉄住金は日本政府はあてに出来ないとして個別補償に応じるのだ。 そしてその是非を巡り国内で賛否が渦巻き、他の日本企業も同様に困難な選択に迫られる。 そんな混乱を防ぐために政治決断ができるのは安倍首相しかいない。 もはや安倍首相は誤魔化しで事態を切り抜けることはできない。 新日鉄住金の個別賠償の動きは、安倍首相に日韓基本条約の見直しを迫った。 産経新聞は物凄いスクープを掲載したのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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