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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

同じ昭和史でも、なぜか語られないシベリア抑留問題
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2013年8月11日第602号 ■   =============================================================  同じ昭和史でも、なぜか語られないシベリア抑留問題  ==============================================================  「シベリア抑留では60万人もの人間が拉致されたのに、教科書でもあまり触れられていない。歴代内閣は抑留問題に真剣に取り組んでいない」  これは元抑留者で全抑協会長の相沢英之元衆議院議員(94)の言葉である。  この相沢議員の言葉で始まる8月10日の産経新聞の記事、「シベリア抑留 風化危機」と題する記事を読んだ時、私はかねてから抱いていた疑問をあらためて思い起こした。  この国の昭和史について語られるのは日米関係の闇ばかりで、もう一つの闇、すなわち日本兵のシベリア抑留についてはほとんど語られることがないのはなぜか、という疑問である。  シベリア抑留の概要はこうだ。  すなわち日本の無条件降伏が行なわれる直前に、「日ソ不可侵条約」を一方的に破って対日参戦したソ連軍は、満州や樺太などから日本軍将兵や一般邦人ら60万人を連行し、シベリアなど旧ソ連各地の収容所に抑留し、2年―11年にわたって森林伐採や鉄道敷設などに強制労働させた。その間に飢えや寒さや衰弱で死亡した人数は約5万3千人にのぼるという。  終戦の知らせを受け、これでやっと日本に帰ることができると信じた兵士たちが、気がついたらシベリアに送り込まれ、苦役に従事させられた。そしてそのまま多くの兵士が亡くなって行った。  この絶望感と無念はいかばかりだっただろうかと思う。  問題はその残酷な歴史について、我々がほとんど知らないことだ。  そしてシベリア抑留の犠牲者に対する日本政府の対応が鈍いということだ。  このシベリア抑留問題についての関心の低さについて、8月7日の毎日新聞「発信箱」で栗原俊雄という学芸部記者が書いていた。  8月は広島、長崎への原爆投下や終戦記念日など、あの戦争の犠牲者を追悼する式典が集中するが、同じ8月でも23日がどういう日であるかを知っている国民は少ないだろうと。  それはソ連の独裁者スターリンが、旧満州国などにいた日本人を抑留するよう司令した日である、と。  そして栗原記者は書く。  シベリア抑留については、公的な追悼式も、研究機関もない。アカデミズムの研究は立ち遅れ、メディアの報道蓄積も薄い。  いまこそ8月23日を国家的追悼の日とし、原爆と同じく世界史に刻印されるべき悲劇であることに思いを致し、8月15日と同じように国家による追悼の日にできないだろうか、と。  私もそう思う。  それにしても、日米の戦史については、皆が関心を持ち、多くが語られるのに、なぜ日ソの戦史については関心が低いのか。  それはもちろん日米戦争の結果が今日に日米安保体制につながっているからだ。  米国の日本占領はいまでも続いているからだ。  しかしシベリア抑留について語られないもう一つの理由があると私は思っている。  それは当時の日本軍幹部がこのシベリア抑留に加担していたという疑惑があるからである。  日本軍幹部が日本兵をソ連に売りわたしていたのではないかという疑惑である。  この疑惑はいつまでたっても疑惑のまま放置されてきた。  そして関係者はやがて皆いなくなり、誰も知らないまま封印されてしまう。  シベリア抑留問題が取り上げられれば、取り上げられるほど、この疑惑に突き当たる。  それを避けるために、シベリア抑留問題がこの国の正史で大きく語られず、この国の政治の中心問題になることはなかったのではないか、そう私は考えている(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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