□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年7月21日第538号 ■ ============================================================= オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史 ============================================================== 自分の国であるがゆえに、その国のいいところだけでなく、不都合な歴史も直視する、そして反省をする。 それは自立した国民として正しい態度であるが、それを自虐史観と称して否定する愚かな者がいる。 米国に自虐史観論者なる者がいるかどうかは知らないが、「オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史」はさしずめ米国版自虐史観の書である。 全3巻のこの大部の書を私はいまだ拾い読みしかしていないから自らの評価を書くことを控えてきた。 ところが明治学院大学教授の中尾茂夫氏が週刊エコノミスト7月23日号に見事な書評を書いてくれたのでそれを引用してこの書が如何に日本国民にとって必読であるかを紹介したい。 この本の凄さを中尾教授は次のように書く。 「アメリカと言えば、自由と民主主義を標榜する国という印象が強い。だが、本書は、そのアメリカの戦慄すべき暴力と殺戮に満ちた帝国史を浮き彫りにし、その虚像をはがす。これが有名な映画監督と若手歴史学者の共同作業だということに新鮮な驚きを覚える」 私の評価もこれにつきるが、我々がこの書で注目すべきは日本に関連する箇所だ。 原爆投下はソ連を牽制し、アメリカのパワーを世界に誇示する壮大な見世物だったが、同時にそれは日本人への人種差別だったことをこの書を書いた者たちは認める。 これを我々日本人が言うのなら珍しくはない。 しかしそれを米国人が史実として認めているのである。 さらに東京大空襲は「人類史上最も残忍で野蛮な非戦闘員殺戮」だったとし、それに対するアメリカ人の無関心ぶりを「人間性の喪失」だったと断言する。 その事を米国人が書いているのである。 私が驚いたのは、日本が降伏したのは原爆の衝撃よりもソ連軍参戦による恐怖のほうが大きかった、だからこそ天皇制(国体)存続に理解を示すアメリカへの降伏を選択したのだ、と書いているところである。 豊下楢彦教授がいみじくもその著書「安保条約の成立―吉田外交と天皇外交」(岩波新書)で喝破した史実だ。 これは日本国民にとってはタブー視されてきたことだ。 それを米国の映画監督と若手歴史家が日本国民に代わって教えてくれているのである。 中尾教授はその書評の最後をこう締めくくっている。 日米同盟の重要性しか見ない政治家、大手メディア、知らず知らずのうちにアメリカびいきになっている若者、さらにアメリカと言えば、市場メカニズムによる理論的均衡しか語らない経済学者も、米国の政治、経済のカラクリを知る必要があると。 私がこの書を日本国民必読の書と絶賛するゆえんである。 中尾氏はさらに言う。 アメリカの深層に真摯に向き合おうとする著者たちの勇気と良心に、一縷の希望を見いだす思いがした、と。 これもまた私は強く共鳴するのである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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