□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年4月23日第290号 ■ ============================================================== 私の心を揺さぶった防衛官僚が書いたイラク戦争検証本 ============================================================== 二つ目に紹介したい本は「検証 官邸のイラク戦争」(柳沢協二著 岩波書店)という本である。3月19日に発行された本だ。 著者の柳沢氏と私は直接の面識はないがほぼ同じ頃に官僚人生を送った間柄だ。 私が1988年ー90年に内閣安全保障室審議官であった頃、防衛庁でカウンターパート役であった。 その柳沢氏は防衛庁の局長、官房長を歴任した後、2004年から2009年の間内閣官房副長官補として、小泉首相から安倍、福田、麻生と続く4人の首相に仕えて自衛隊のイラク派遣を担当して来た。 その元官僚が官邸から見たイラク戦争とその戦争への日本の支援を検証したのである。 日本ではイラク戦争の検証がまったくなされていない。 2007年にイラク特措法が延長された時、付帯決議で「大量破壊兵器がなかったことを踏まえて、当時の政府の判断を検証すること」を求めたのに、今日に至るまで政府も国会も検証しようともしない。 2010年12月には超党派のイラク戦争検証議員連盟が超党派の議員らで鳴り物入りで出来たが、何もしないまま立ち消えに終った。 そして昨年暮れ、野田民主党政権が倒れる直前のドサクサに紛れて外務省が紙切れのような検証報告を公表した時、私はそのあまりのお粗末さにあきれ果て、これは日本の検証に蓋をする最後のセレモニーだと当時のメルマガで書いた。 そんな中で、政府の中枢にいてイラク戦争に自衛隊を派遣し続けた元防衛官僚幹部が、一人でイラク戦争とそれに協力する日本政府の方針を検証し、一冊の本にまとめたのである。 私は新聞の広告でそれを知り、すぐ買い求めて一気に読み終えた。 政府のイラク戦争支援を支えてきた官僚の書いたものだ。 どうせ欺瞞に満ちたものに違いない。 そういう思い込みで読み始めた私だが、読み進むうちにたちまち引き込まれ、その本を読了した時には深い感動を覚えていた。 「防衛官僚として、与えられた状況の中で最善を尽くしたという意味で、職業人としての良心に恥じることはない」 「私は、戦争一般を否定する考えではないし、イラク戦争も自分なりの論理で支持していた」 そう書書かざるを得ない柳沢氏は、「あの戦争は間違いだ」と言って小泉首相を痛烈に批判し、官僚人生をこころざし半ばで辞めざるを得なかった私にとっては、いわば対極にある官僚だ。 しかし、この本は、一人の官僚が、退職した後にその残りの人生のすべてをかけて、自らが関わった政策の誤りを認め、反省した良心の叫びである。 その事を正しく評価できる者は私をおいて他にない。 小泉首相の独断で決めたブッシュの戦争の支持を、「はじめに日米同盟ありき」だったと認め、それを自分も含め誰もが危険だと感じながら「仕方がない」と従って行った「思考停止」を認め、そして、その事によって世界の平和だけでなく、日本の国防政策さえも壊してしまったと断じている。 よほどの勇気がないとここまでは書けない。 私が最も驚いたのは日米同盟はもはや日本のためにはならないと言っていることである。 どうやら私は本当の同志に巡り会えたような気がする。 それまでに歩んだ官僚人生は随分違ったものであったが、最後に同じ結論に辿りついた元外務官僚と元防衛官僚が、残りの人生を賭けて日本の正しい外交・安全保障政策を、この国の政治家、官僚たちに、そして国民に、示していこうではないか。 私はそう呼びかけるために彼に会いに行こうと思っている。 早速手紙を書いてそれを岩波書店に託そうと思っている。 それに応じてくれるかどうかはもちろん柳沢氏の判断である(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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