□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年4月22日第289号 ■ ============================================================== 近藤大介著「対中戦略」(講談社)は日本の対中外交の指南者だ ============================================================== 最近読んだ本の中でどうしても紹介したい本があるので三回にわけて書いてみる。 第一回は4月15日刊行の「対中戦略」(近藤大介著 講談社)という本だ。 著者の近藤大介氏は今から10年前、私が「さらば外務省」を出版する事を事前に知って週刊誌に書き、それがもとで大騒ぎになった張本人だ。 私は「さらば外務省」を書いたのはいいが、その影響力に怯んで直前になって思い直し出版を取り止めようと迷った。しかし週刊誌書かれて引返せなくなった。 おかげでベストセラーになったのだが、大袈裟に言えば私の人生を決めた記事を書いた記者だ。 以来近藤氏とは時々意見交換し外交について語り合う仲となった。 その彼が3年間の中国滞在を経て週刊現代の編集次長となって帰国し、書いた本がこれだ。 もともと彼は台湾や中国を専門にするジャーナリストであり研究家である。 その彼が尖閣諸島問題で悪化した日中関係の原因とその打開策を、彼自らの第一級の取材に基づいて書いた本がこの本である。 それは私が外野席で眺めて来た日中関係の見方がおおむね正しかった事を教えてくれているが、同時に思い違いがあったことや、まったく知らなかった事をも見事に教えてくれている。 私が驚いたのは反日政策の裏にある江沢民、胡錦涛、習近平三者の凄まじいまでの闘争であり、それに利用された作為的な反日政策の実態である。 その事はすでにメディアでさんざん書かれていた事であるが、中国語を自由にあやつる近藤氏ならではの一級情報に基づいて書かれたその内容は説得力がある。 これを知ると反中ならずとも、中国に対する反発を覚えざるを得ない。 そして対日開戦も辞さないという反日の中国軍と、それに支えられた習近平の中国の現実を知ると、今後の日中関係は容易ならざることだとわかる。 こう書くと近藤氏は、「中国と戦うべし」、という愛国・右翼のように聞こえるが決してそうではない。 この本の副題が「無益な戦争を回避するために」であることからもわかるように、日本はそのような中国と正しく向かい合い、中国の弱点を巧みについて外交的に日本の国益を守れと言っているのだ。 そしてそれの出来ない日本の政治家や官僚のピントはずれを厳しく糾弾している。 すなわち自分の息子可愛さに「尖閣諸島買い上げ」と言うたわごとを言って、中国に「飛んで火に入る虫」と言わしめた石原慎太郎の愚かさ。 中国の権力闘争をつかめずに、中国がもっとも反発する国有化宣言をして親日の胡錦涛の足を引張った野田民主党政権。 米中の壮絶なせめぎあいの中で、日本は米国にも中国にも相手にされていないのに、日米同盟に頼って中国を逆撫でする安倍政権。 中国は笑っているというのだ。 近藤氏にしてみれば日本外交の愚かさこそこの本で一番批判したかったことに違いない。 因みに近藤氏はこの本の中で小沢氏や丹羽前駐日大使に対する評価も手厳しい。 私がこの本であらためて確認させられたことは、米国も中国もお互いに相手を不可避的な潜在的敵国と看做しながら重視し、当面は協力関係を保って行こうとする強い意思があるという事である。 それを米中お互いが知っているということである。 そして中国の優秀性と対米外交の周到さ、それに対する米国の評価。これである。 米国にとって中国の閣僚や官僚と向かい合う時は真剣でも、日本の閣僚や政治家に向かい合う時は馬鹿にしているほどだという。 これでは日本は対米外交においても中国に到底かなわないのである。 こう書いていくと救いがたい日本の姿が浮き彫りになるが、近藤氏は中国の弱点もまた鋭く指摘している。 そして中国の要人の中にも親日的な者も間違いなく存することを指摘する。 だから重要な事は日本がそれらを見極めた上で、人的パイプを深め、日本が有利な分野で対中協力を進めて、日中関係の改善を図ることはできると言う。 近藤氏は親切にも6つの提言(戦略)までその書の中で提示している。 果たして、日本の政治家や官僚たちが、それらの提言をどこまで理解し、なによりもそれらをどこまで実行できるのか、と言う疑問は残る。 結局は対中関係の悪化は、日本の無能、情報不足、人的パイプの欠如がもたらしたものであり、対中関係が打開できるかどうかもまた、日本の政治家、官僚の力量にかかっているというわけだ。 そうであればやはり日中関係の将来は危ういことになる(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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