□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年4月6日第246号 ■ ============================================================== 米軍施設返還合意の裏を読み解くとこうだ ============================================================== きょう4月6日の各紙は米軍施設返還合意を鳴り物入りで報じている。 一体今回の日米合意とは何だったのか。 朝日新聞に至っては今回の合意文書の全文を掲載している。それを読めといわんばかりだ。 しかしそれは長大な合意文書だ。誰もそんなものを全部読まない。 たとえそれのすべてに目を通したとしても、今回の合意で日本が得をしたのか損をしたのか分からない。 無理もない。大手新聞でさえ評価が真っ二つに分かれているほどだ。 すなわち読売新聞はその社説で「沖縄の過重な米軍基地負担を軽減するうえで画期的な意義を持つ」と持ち上げているのに対し、東京新聞は同じくその社説で、「(条件付では)、返還は進まず、県民の基地負担も軽減されない」とまるで正反対の評価をしている。 朝日に至っては社説で取り上げる事は無く、多くの紙面を割いて個別ごとの解説記事を書いている。 その見出しはざっとつぎのごとくだ。 「いつ返還 玉虫色」 「米が難色 実現性に懸念」 「代替施設探し 高い壁」 「沖縄冷淡 『政府は自信ないのでは』」 「返還 裏切りの歴史 時期・条件 たびたび変更」 「『負担軽減ならぬ』 名護市長」 「普天間返還 あと9年以上とは 17年待った地元失望」 驚くべき否定的な見出しの羅列だ。その解説記事を読まなくても内容がわかる。 その他の新聞社もおおむね否定的に報じている。 要するに読売新聞だけが突出して評価しているのだ。 なぜこのような事が起きたのか。 そのヒントは3月24日のメルマガ第209号にある。 すなわち読売新聞はその日の紙面で次のようなスクープ記事を書いた。 「2月23日の日米首脳会談で、安倍首相がオバマ大統領に対して辺野古移転に先行して嘉手納以南の米軍施設・区域の一部を返還するように求め、これに対してオバマ大統領がその実現性について米政府関係者に調査を指示したことが、日本政府関係者の話から明らかになった」と。 この記事は明らかに政府内部からのリークに基づく期待値を高める記事で、安倍首相は普天間基地の辺野古移転を約束した代りに、遅れていた嘉手納以南の米軍施設返還をオバマ大統領に要求した、と安倍首相が指導力を発揮したという記事だ。 そこまで安倍首相がやってくれたのだから沖縄住民も辺野古移転を受け入れざるを得ないではないかと政府に先駆けて沖縄に迫っている記事だ。 この読売新聞のスクープ記事につられて各紙も米国の返還を期待する後追い記事を書いた。 ところが取材していくうちに各紙ともどうも様子が違う事がわかってきた。 すなわちオバマ大統領は安倍首相には何も具体的な事は約束しておらず、事務方の交渉ではむしろ米国側はこれまでの強硬姿勢を崩していない事が明らかになってきたというわけだ。 その一方で米国側は、この読売新聞のスクープ記事が一人歩きをすれば日本の世論に押されて譲歩せざるを得なくなる。そうしないと米国が悪者になる。 そんな事はあってはならない。在日沖縄米軍基地の計画について米国が譲歩する事はあり得ない。早い段階で米国の返還計画を日本側に一方的に通告し、それを日米合意として飲ませ、公表したほうが得策だと考えた。 それがこのような「日米合意」の早期実現と公表につながったのだ。 つまり読売新聞のスクープにせかされて日本側が執拗に安倍首相の指導力発揮を迫るので、顔をたてて返還時期の明示はしてやる、しかし返還時期は大幅に遅らせ、しかも条件付だ、これ以上の変更はありえないと迫った。 これが日米合意の実体なのだ。 読売新聞はスクープ記事を書いた手前、この「日米合意」という名の米側の「一方的通告」を評価せざるを得ない。 読売新聞にスクープされた以上、安倍首相は頑張ったという振りをしなくては格好がつかない。 そこでルース駐日大使に頼み込んで日米首脳会談の成果として「あたらに合意した」という形をとらせてもらったと言うわけだ。 こんな「合意」は長年にかけて行なわれて来た日米事務レベル交渉でほとんどが決まっていたことなのだ。 短期間でこんな長い合意文書など作れる筈が無い。 合意されていたものをほんの少し手直ししただけなのだ。 その読売新聞でさえ、その社説の評価とは裏腹に次のように今度の「日米合意」について書いている。 「・・・日米両政府が5日発表した嘉手納基地以南の米軍施設・区域返還計画では、返還時期の明記を巡って日米間の調整は最後まで難航した。日本政府は今後、返還計画を着実に実行することで沖縄の理解と信頼を得て、普天間飛行場移設問題の前進につなげたい考えだが、課題も多い・・・・」 何の事はない。社説に掲げた「画期的な意義」などとは程遠い現実を読売新聞自身が認めているのである。 3月24日のスクープ記事は先走りだったということである(了) ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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