□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2013年2月9日第104号 ■ ============================================================== 原発被害者訴訟がこの国を変えるかもしれない ============================================================== 閉塞した政治状況の中で大きなニュースが飛び込んできた。ついに原発被害者が国と東電を相手に立ち上がったのだ。 きのう2月8日の東京新聞が一面トップでスクープ報道し、そしてきょう2月9日の各紙が一斉に報じた。 東日本最震災から2年目を迎える3月11日に、原発事故で避難を余儀なくされた福島の被災者たちが、東京や千葉などの避難先の地裁に集団提訴するというのだ。 私はこの時を待っていた。この集団訴訟がすべての原発事故被害者のうねりに発展し、この国の原発政策を変え、そしてこの国の支配体制を変えるようになることを私は願う。 私は福島原発事故が起きて間もない頃に書いた。 福島原発事故の被災者は何を要求しても許される。原発事故は単なる天災ではない。人災だ。そして放射線被曝という最も非人道的な被害を何の責任もない国民が余儀なくさせられた。福島原発事故の被災民は国や東電にどんな要求をしても許される。国や東電はどんな要求にも応えなければならない。原発事故の被害を免れた大多数の幸運な日本国民は、被害にあった同胞に対して、あらゆる支援を惜しまないはずだ、と。 そう主張する事によって、私は今度の原発事故がきっかけとなって日本のこれまでの権力構造が変わる事を期待したのだ。 いや変わらなければならない。それこそが原発事故という未曾有の不幸を経験した日本のせめてもの救いになる、そう私は書いた。 残念ながらその後の二年間は無残なものであった。 何一つ変わらなかったばかりか、アンシャンレジームの見事な復活だ。 再び原発維持勢力が復活し、原発被害者の救済は不十分なまま放置されたままだ。権力の転換どころか権力による棄民政策が行なわれているごとくだ。 いったい日本国民はどこまで権力に従順なのだろうか。 そう失望していた矢先にこの集団訴訟である。 繰り返して言う。私はこの訴訟が日本の政治を変えてくれる事を期待する。 いまのところ原告の数は限られているというが、それが何万人の単位に広がっていく事を期待する。 一人あたりの賠償要求額は千万円程度であるということだが、昨年暮れに在日米軍の有志が東電を相手に起こした訴訟並の一人あたり1億円を要求してもおかしくはない。 そして裁判所は今度ばかりは原告に訴えの権利がないといって門前払いはできないだろう。 これほどの明らかな被害はないからだ。 今度ばかりは最高裁も国や東電の肩を持つわけにはいかないだろう。 そんな事をすれば今度こそ最高裁は国民から否定されるだろう。 おりしも東電は国会事故調査委員会に嘘までついて責任を回避しようとした事が明るみに出た。 おりしも政治家や官僚が復興予算という名目で血税を流用していることが国民の怒りに火をつけた。 国民はこの裁判の行方を最後まで監視し、国や東電に責任を取らせるように裁判所に圧力をかけ、訴訟の成り行きを監視しなければいけない。 メディアはそれを毎日、大きく報じて国民に知らすようにしなければならない。 まともな訴訟が行なわるなら、東電はつぶれ、この国の権力者は責任を取らされる。 その時こそこの国に本物の民主主義が芽生える時だ。 戦争を自らの手で裁けなかった日本国民は、それから67年たってはじめて主役になれるのだ。 東京裁判を繰り返してはいけない(了)。 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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