□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年8月3日第588号 ■ ============================================================== オスプレイ強行配備の裏にある日米密約問題を報じないメディア ============================================================== 今回のオスプレイの強行配備に際して、有名になった言葉がある。 「配備は米政府の方針で(日本から)どうこうしろという話では ない」(野田首相)。 「(配備の是非については)日米安保条約上、日本には権限はない」 (森本防衛相)。 本当か。 誰もその発言を追及せず、我々もそれでわかったような気にさせら れている。 一歩進んで解説しているものでさえ、およそ次のような解説で止ま っている。 すなわち日米安保条約には事前協議の制度があり、在日米軍の配置や 在日米軍の装備に関する重要な変更は事前協議の対象になるが、オスプ レイの配備はその対象にはなっていない、と。 それで本当に納得できるのか。 なぜオスプレイ配備は重要でないのか。 そもそもそのような合意はどこに書かれているのか、という最も重要な 部分については、どのメディアも触れないままだ。 この欺瞞を見事に暴いてくれた記事をサンデー毎日8月12日号の中 に見つけた。 フリージャーナリスト吉田敏浩氏の緊急寄稿「オスプレイ強行配備 のカゲに日米安保密約」がそれだ。 吉田氏はこう書いている。 装備における重要な変更として事前協議の対象となるのは何か。政府 は国会で「それは、核弾頭および中・長距離ミサイルの持ち込み並びに それらの基地の建設と解釈することが日米間の了解になっている」と答弁 してきた。 そして外務省北米局日米安全保障条約課に問い合わせると、その了解 は文書としてではなく口頭了解として日米間で確認し合っているものだ という。 具体的には1960年の日米安保改定交渉で、当時の藤山愛一郎外相と マッカーサー駐日大使(筆者註:マッカーサー司令官の甥)が交わした とされ、やっと1968年に外務省が文章化して国会に提出したもので あるという。 これだけでもいい加減であることがわかるが、吉田氏が続ける内容は もっと驚きだ。 国会に提出された文書は国会答弁用に作った外務省の作文に過ぎず、 その基になる合意文書(英文のみ)が実は存在していたというのだ。 それが1960年1月6日作成の「相互協力及び安全保障協約討議記録」 であるという。 藤山外相とマッカーサー駐日大使のイニシャル(頭文字署名)がある。 そこには事前の対象となる「装備における重要な変更」が何を意味する か書かれている。 問題はこの合意文書が国民の目から隠され続けて来た密約であったとい ことだ。 だからこれまで誰もこの合意についてまともな議論をしてこなかったし 出来なかったのだ。 その一方で日米地位協定第3条には「合衆国軍隊が使用している施設 および区域における作業は公共の安全に妥当な考慮を払って行われなけれ ばならない」と明確に書かれている。 吉田氏は言う。 公共の安全性に重大な懸念があるのだから事前協議の対象にすると提案 するのは主権国家として当たり前の事だ、と。 その通りである。日米地位協定という誰もが読める協定ではっきりと 書いてあるのに、なぜ討議記録というより下位にある了解に縛られるのか。 しかも国民に知らされてこなかった密約が地位協定よりも優先するのか。 日米安保改定時に日本側の自主性を担保するために導入された事前協議 制度は、「討議記録」という密約で骨抜きにされ、以来一度も使われずに 有名無実化してきた。 いまこそ日本側から事前協議を提起すべき正当かつ協定上の根拠がある にもかかわらず、米側との協議を放棄している官僚たちと、そのいいなり になってオスプレイ受け入れやむなしを繰り返す野田首相と玄葉外相、 森本防衛相。 すべては密約で塗り固められた日米安保体制の矛盾から来ているのだ。 この際本気になって日米安保密約を国民の前に明らかにし、それを破棄 することによって健全な日米関係は始まる。 こう吉田氏は声を大にしてサンデー毎日の記事の中で訴えているのである。 こんなことは大手新聞が書いて国民に知らせるべきことだ。 ところが大手新聞はこんなことを一度たりとも書いたことがない。 メディアの使命を放棄した今の大手新聞こそ、国民を蒙昧にしたままで 悪政を強行しようとする権力者のたちとの共犯者である。 世の中を悪くする元凶である。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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