□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年7月28日第575号 ■ ============================================================== 日本企業の自助努力の足をひっぱるこの国の政治 ============================================================== 「大事なのは経済だ(It’s the economy, stupid!)」という言葉は ビル・クリントンがブッシュ大統領(父)との大統領選を競った際に使って 勝利をおさめた言葉である。 つまり経済回復こそが重要であり、国民もまたそれを望んでいると言う 事を強調する言葉である。 以来米国の政治ではこの言葉がしばしば引用され、いまではロムニー 候補がこれを使ってオバマ大統領を攻撃している。 日本に当てはめて言えば、それは政冷経熱ということになろうか。 つまり尖閣問題や歴史認識で中国との政治的摩擦はあっても日中の経済 相互依存関係を深めることこそ日本国民の利益になるというわけだ。 実際のところ日本企業の中国進出はもはや死活的重要性を高めている。 だからこそ7月28日の日経が一面トップで衝撃的に報じていた。 「TDK・昭電、中国合弁凍結」、と。 すなわち、TDKと昭和電工は中国における高性能磁石製造の合弁会社 をつくる計画であったところ、その計画を凍結することにしたというのだ。 この見出しを見た時、私はてっきり中国側の政治的反対で日本企業が中国 進出を断念せざるを得なくなったと思った。 ところがその記事をよく読んでみると、原因は日本政府にあることを知った。 すなわち日本の輸出に関する法令(輸出貿易管理令)が8月1日より改正 され、日本からの物資・技術の中国への移転が厳しくなったからだという。 日本の法令改正が日本企業の中国進出を妨げているというのだ。 周知のように高性能磁石は環境車やハードデイスク装置のモーターに 必要だ。 しかしその原料に必要なレアアースの輸出を中国は制限している。 そこで現地に工場をつくって磁石を中国でつくりその製品を輸出して 対応しようとするものだ。 日本企業の自助努力である。 ところが日本政府は輸出貿易管理令を厳しくして高性能磁石関連部品と 製造技術の中国移転を困難にしようとしている。 その理由は磁石がミサイルなど大量破壊兵器に利用されないためである という。 まさしく米国の中国脅威論に従った政治的判断だ。 いまこそ日本企業は日本政府に抗議しなければならない。 It’s the economy, stupid! と。 かつて近代経済学者の泰斗である中山伊知郎一橋大学名誉教授がその著書 でこう言っていたのを思い出す。 政治は経済を一時的に歪める事が出来ても決して長続きはしないと。 クリントンと同じ事を言っているのである。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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