□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年7月15日第536号 ■ ============================================================== 護憲論者にとって深刻なシリア情勢の長引く混迷 ============================================================== 小沢切りを断行してからというもの、野田首相の強硬姿勢が目立つ。 とくに安全保障政策についての右傾化が目につく。 これは日本の護憲論者にとっては警戒を要する動きだ。 そして日本の護憲論者が警戒しなければならないもう一つの動きが ある。 それはシリア情勢をめぐる国連の無能さである。 シリアの反政府デモが起きて1年以上がたつ。 その間にシリア情勢はどんどんと悪化し、混迷を極めている。 もはやこの問題の真の解決は、アサド政権の追放しかない。 それがアサドの亡命という温情的なものとなるか、有志連合の武力 介入になるかは不明だが、アサドがこのままシリアに残る形で解決 することはありえない。 シリア国民はそれを許さない。 なぜ、シリア情勢はかくも長く混乱が続くのか。 それはもちろん国連主要国の利害優先のエゴだ。 中でも今回はロシア、中国のエゴだ。 しかし、ロシア、中国と並んで批判さるべき責任者がいる。 それが国連である。 アナン前国連事務総長がシリア問題解決の特使に任命されたのは今年 の2月であった。 私はそれを知った時、これではだめだと思った。 アナン氏は米国があの不当なイラク先制攻撃を行った時の国連事務 総長だ。 アナン事務総長はあの時、米国の攻撃を止めることができなかった。 そして、後になって米国のイラク攻撃は国際法違反だと批判した。 批判しながらその後も国連事務総長にとどまった。 それを見たマレーシアのマハティール元首相はアナン事務総長を痛烈 に批判した。 「アナンは米国の攻撃を止められなかった時点で、米国に抗議して 辞表をたたきつけるべきだった」、と。 マハティールならではの正論だ。 当時私は同じ思いでこの発言を聞いていた。 なにしろアナン自ら事務総長を務める国連を米国は踏みにじったのだ。 それにもかかわらずアナン氏は事務総長にとどまって任期を全うした。 そんなアナンにシリア問題が解決できるはずがない。 案の定、アナンは自らの仲介努力は失敗に終わったと宣言した。 それにもかかわらず、いまだにその職にとどまっている。 あの時と同じだ。 国連が出来て67年がたち、世界の平和を実現する事を期待されて 登場した国連が、その機能を強化するどころかますます無力になり つつある。 国連事務局長がますます無能で小者になってしまった。 このことは我が国の護憲論者にとって深刻だ。 「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」憲法9条は武力に よる紛争解決を放棄した。 しかしその前提の国連がかくも無能をさらす中で、国内では総保守化 に向かいつつある。 護憲論者たちは、改憲論者に対して、それでも憲法9条を守らなけれ ばならないと説得力のある議論ができるのだろうか。 シリア情勢の長引く混迷は、憲法9条を守ろうとする日本国民に とって深刻な問題なのである。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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