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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

野田首相が「尖閣問題棚上げ」を提唱すれば大したもんだ
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2012年7月8日第522号 ■   ==============================================================   野田首相が「尖閣問題を棚上げ」を提唱すれば大したもんだ     ==============================================================  昨晩遅く日刊ゲンダイから電話取材を受けた。野田首相が尖閣問題を 購入すると突然言い出した背景に何があるのかと。  私は即座に答えた。この問題に関しては二つの事実に注目すべきだと。  一つは石原慎太郎がわざわざ米国の講演で尖閣購入を言い出したことだ。  この石原の米国訪問については、亀井静香が「米国との関係を修復しに 行ったのだ」とかつてどこかで語っていた。  つまり侘びを入れに行ったのだ。その時に尖閣問題を米国と話して来た フシがある。  二つ目は、野田首相が小沢切りをしたとたん、やたらに攻撃的になって きたことだ。  就任早々「どじょう」だと称して謙遜していた野田首相が、「決断する」 首相を振りかざし、集団的自衛権とかオスプレイ配備とか、原子力基本法 に安全保障条項を盛り込むとか、どんどんタカ派の政策を打ち出している。  そう考えた時、突然の尖閣購入は、石原と通じて米国の日中分断作戦に 乗せられようとしているのではないかと勘ぐりたくなる。  しかしそれは日本の国益にとって愚の骨頂である。  尖閣問題については7月7日の朝日新聞が極めて重要な対談記事を掲載 していた。  若宮啓文朝日主筆が、趙啓正氏(全国政治協商会議外事委員会主任)、 宮本雄二氏(前駐中国大使)の二人と尖閣問題で語っている。  そのなかで尖閣問題については日中間において棚上げすることで暗黙の 合意があったとはっきり認めている。  すなわち趙氏が「田中内閣の官房長官だった二階堂進さんに聞いた話です が、田中角栄首相は訪中前に『尖閣を話さなければ国民に説明できない』と 言っていた。しかし周恩来にそれをぶつけると『その話をすれば正常化でき ない。これは置いておこう』と言われて同意した、と」と述べたのに対し、 若宮氏が「そんなやり取りは首脳会談の記録に残っています。さらに鄧小平 副首相が1978年に来日して『棚上げ』を表明しました」と答えている。  私が驚いたのは宮本大使の次の言葉である。  「・・・日本の立場は正しいし実効支配もしているので『領土問題が存在 する』とは認めにくかった。しかし、外務省で20年も中国関係をしてきた 私が、この問題で相当に時間をとられたのは事実。呼び方はどうであれ、 問題はあったのです・・・」  これは物凄い発言である。領土問題の存在を認めたのだ。  元中国大使が尖閣問題は筋論では解決しないと認めたのだ。  宮本大使は大学も同じ私の外務省時代の同期だ。正直で一本気な男である。  彼がそういうのだから間違いはない。  尖閣問題は日中の間に横たわる最大の領土問題なのである。  そして趙氏はその対談の中ではっきりと述べている。  「・・・それ(『棚上げ』)で双方が一致しているなら大変喜ばしい」と。  趙氏は全国政治協商会議外事委員会主任とうややこしい肩書きの人物である が、もちろん中国政府の考えを代弁している。  さて前置きが長くなった。  尖閣問題は棚上げするしかないのだ。  棚上げして、その間に日中の経済協力関係を進め、友好関係を深めるのだ。  これこそがお互いの国益なのである。  野田首相は尖閣を購入した上で中国政府に対して棚上げしようと公式に 提案するのだ。  これに対して中国が異論を挟む余地はない。  なにしろ周恩来や鄧小平という今日の中国を築いた建国の父たちがそう 言っているからだ。  近時、尖閣問題の棚上げ合意を破って攻勢に出ているのは中国の方だ。  棚上げ論を日本が提示することは、そのような中国の攻勢に対する最強の 反撃なのである。  周恩来や鄧小平の叡知に泥を塗るのか、と。  今の指導者達はぐうの音もでないだろう。  野田首相が棚上げ論を提示できれば大したものだ。  しかし、おそらくそうはならないだろう。  石原慎太郎に乗せられて米国の日中分断作戦の尻馬に乗るだろう。  私が小沢一郎であれば政局ばかりに奔走するのではなく、いまこそ国民の 前で、世界の前で、野田外交に異を唱えるだろう。  私が首相だったらオスプレイの配備は認めない、米国と再交渉して 見せる、と。  私が首相だったら尖閣問題の棚上げを中国首脳に提案する、そして日中間 の関係強化に専念する、と。  米国は腰を抜かすだろう。しかし米国は反論できるはずがない。  小沢一郎に助言のできる側近はいないのか。  政局を制するのはなにも新党づくりの数合わせだけではない。  正しい政策こそがもっともよく政局を制するのである。                                了   ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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