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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

 丹羽大使よ。せめて最後は意地を見せて欲しい
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年6月11日第445号 ■   ==============================================================   丹羽大使よ。せめて最後は意地を見せて欲しい  ==============================================================  丹羽宇一郎駐中国大使には失望させられた。  断っておくが、私は彼に期待した一人だ。  もはや大使のポストを外務官僚が独占する時代ではない。  この国にあまたいる在野の最適な人材をどんどん政治任命し、外交の 分野においても脱官僚依存の外交に向けて風穴をあけて欲しい。  そういう思いで私は民主党政権の大使人事を歓迎した。  外務官僚の最大の利権となって久しい主要国大使人事。  その大使人事の、しかも駐中国大使という重要なポストに民間人を 政治任命した鳩山首相の英断を、私は驚きと期待を持って受け止めた。  丹羽大使の存在感がまるで発揮されずに批判が高まる中でも、私は なお期待を捨てずに見守ってきた。  しかし今度の尖閣発言の顛末を見てさすがにこれで終わりだと思った。  報道によれば丹羽大使が侘びを入れ、玄葉外相が処分する考えがない事 を表明したことによって幕引きが行なわれそうだ。  どうせこの夏にも交代する事が決まっている。いまさら「更迭」という 不穏当な事をしなくてもいいのだ。  しかしそのような形で終わってしまうことは最悪だ。  せめて丹羽大使には最後に意地を見せて欲しい。  政治任命された特権で、野田民主党政権が終わり、新政権の誕生を待って 人事交代が行なわれるように粘って欲しい。  なぜこのままあっさりと野田政権の途中で交代させられることが悪いのか。  それは野田政権が行う大使人事では外務官僚が復活するからである。  問題は駐中国大使のポストにとどまらない。  とっくに任期が来ている駐米大使の人事も当然のごとく外務官僚が就く ことになる。  外務官僚が大使ポストを独占することのどこが悪いのか。  それは今の外務官僚ではまともな外交が出来ないからだ。  人材が払底しているからだ。  この事は外務省自身が認めていることだ。  それでもあつかましく大使人事を外務官僚やそのOBでたらいまわししよう としている。  丹羽大使の例に懲りて、やはり大使はプロでなければいけないなどと いう馬鹿な事を言い出す者が出てくるだろう。  その一方で、やはり丹羽大使の例に懲りて、民間人からの駐中国大使には 成り手がいなくなるだろう。  今の野田首相には大使人事を考える余裕はないし、なによりも安全な官僚 で十分だと思っている。  森本防衛相の人事を自画自賛しているぐらいだ。  その結果何が起きるか。  無能な外務官僚に任せっぱなしの外交が、東京と現地の双方でキャッチ ボールされる。  対中外交は事なかれ主義に終始し、対米外交は対米従属が固定化する。  たとえば駐米国大使だ。  噂されえている候補者の一人に、あのウィキリークスで、「オバマ大統領 を広島に訪問させてはならない、日米同盟に傷がつくなど」と米国に頼み込ん だことが暴露された売国官僚が噂されているのだ。  こんな人事が許されるのは、世界中でも日本ぐらいだろう。  丹羽大使が本当に日本を憂えるのならば、ここはもう暫く踏ん張って、野田 政権が野たれ死ぬまで駐中国大使のポストに固執してもらいたい。  政治任命を逆手にとって民主党政権の間は自分が駐中国大使であると 主張して欲しい。  そして、やがてくる小沢政権の下で本物の政治任命が行なわれる布石を 打ってほしい。  丹羽大使にはせめて最後だけは意地を見せて欲しい。                                 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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