□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年5月28日第412号 ■ ============================================================== 弁明に終始した枝野氏と国会事故調査委員会の限界 ============================================================== 鳴り物入りで行なわれている福島原発事故に関する国会事故調査委員会 でさえも限界がある。 事故当時の官房長官であり、国民に対する最大の説明責任者であった 枝野氏に対する聴取と答弁を聞いてそう思った。 我々が最も知りたい事は何か。 それは菅首相の現地視察が適切だったかどうかなどではない。 東電の全面撤退の真意が何であったかなどではない。 事故当時の放射線被曝の危険性を、政府がどこまで正しく把握し、それ を正直に国民に知らせたかどうかである。 もっと直裁に言おう。 あのとき枝野氏が繰り返した「直ちに健康に被害を及ぼす数値ではない」 という言葉の意味何だったのかということだ。 もしそれが、危険を知りながら国民に不安を与えないために誤魔化したの であればその責任は犯罪的だ。 もしそれが、危険性がどこまであるか政府自身が判断できず、だから曖昧 な発言に終始せざるを得なかったのであれば無責任だ。 どちらにしても政府の責任は免れない。 報じられているところによれば、枝野氏は情報の公表や住民の避難指示の あり方について誤りを認めたという。 しかしそのことが、「直ちに危険ではない」という政府発表とどう関連し ているかについてはどの報道を見てもはっきりしない。 わずかに日経新聞が、「使い方が正しかったかどうかは分からない」、 「私の思っていたことと、被害者の受け止め方との間にずれがあった。 あらためて申し訳なく思っている」と語った、と書いているだけだ。 しかしこの発言は微妙だ。いかにも弁護士らしく、最終的な責任をたくみ にかわしている。 なぜ放射線被曝の危険性について、政府の認識の有無がそれほど重要 であるのか。 それは今日においても被曝が続いているからだ。 それに対する政府の無責任さが続いているからだ。 国民の安全と生命に関する最も重要な放射線被曝について、国会の事故 調査委員会でさえも不十分な検証で終わりそうになってきた。 きょうの菅元首相に対する聴取と答弁も曖昧な形で終わるに違いない。 事情聴取は公開などしなくてもよい。 司法取引をして法的責任を免除してもよい。 国会事故調査委員会にはその最終報告書においては国民に真実を知らせ てもらいたい。 さもなければ我々は福島原発事故から何も学ばなかったことになる。 再び歴史を改ざんすることになる。 了 ─────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください。 ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説
天木直人(元外交官・作家)