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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

鳩山元首相のイラン訪問騒動が意味するもの
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2012年4月6日第283号 ■     =========================================================   鳩山元首相のイラン訪問騒動が意味するもの                                                              ========================================================  鳩山元首相は玄葉外相の中止要請にもかかわらずイラン訪問を 決行するという。  私はその帰趨に注目する。  この顛末は日本外交にとって極めて興味深い意味合いを持って いるからだ。  なぜ玄葉外相がここまで強く反発するのか。  それは勿論玄葉外相が徹底した対米追従主義者であるからだ。  イランへの制裁強化という国際包囲網はオバマ政権の最重要 外交政策だ。  イスラエルにイラン攻撃を止めさせるかわりに制裁強化をして イランの核開発を遅らせる。  そのためには国際社会にイラン制裁で一致させる必要がある。  これである。  イスラエルの手先である佐藤優元外務官僚はそればかりをメディア で盛んに唱え、玄葉外相にそれを迫っている。  鳩山元首相にイランなどに行かれて勝手な事を言われては困るのだ。  米国に評価される外相となって総理への近道を確保することで頭が 一杯の軽薄な玄葉外相にとっては、ここで鳩山元首相のイラン訪問を 止めさせることができれば男を上げる。  しかし鳩山元首相はそれでも強行するという。  その理由がふるっている。  もっと早く相談をしてほしかったという玄葉外相に対し、何をとぼ けた事を言っているんだ、一か月も前に野田首相には訪問計画を伝え、 「前向きに頑張ってください」と言われた、と鳩山元首相はばらした のだ(4月6日毎日)。  これは痛烈な反撃だ。  そうだとしたら野田首相の責任だ。  野田首相は5日の参院予算委員会で「大変微妙なタイミングで、 国際協調の立場と整合性でなければならない」と述べ鳩山氏の この時期の訪問は好ましくない、などと述べたという。  まるであの時と今とは事情が変わった、と言わんばかりだ。  何をとぼけた事を言っているのだろうか。  一か月前から事情は変わっていない。あの時鳩山氏に止めてくれ と言うべきだったのだ。  おそらくその考えは野田首相の頭にはなかったに違いない。  野田首相にはその程度の外交認識しかないのだ。  もっとも、私はこの鳩山元首相のイラン訪問は大したことになら ないと思っている。  確かに、もし鳩山元首相が信念を持ってイランとの独自の関係を 築こうとするのであれば、東アジア共同体構想をぶち上げた事よりも はるかに深刻な警戒感を米国に抱かせる。  そしてそのような事を許した野田首相、玄葉外相に対する米国の 評価は大きく損なわれる。  しかし米国は鳩山元首相をもはや相手にしていないだろう。  鳩山首相もまたイランとの独自の関係を築こうとして訪問するので はなく核開発を止めろと言う国際社会のメッセージを伝えに行くだけ で終わるだろう。  所詮は外交戦略のない日本の政治家たちの内輪もめである。  そんな私の予想が外れ、米国が怒りだすような騒ぎになれば鳩山 元首相のイラン訪問は大成功だったということである。もちろん私は それをかすかに期待している。                           了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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