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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

福島原発事故の責任究明が出来ない日本の深刻さ 
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2012年2月26日第161号 ■     =========================================================       福島原発事故の責任究明が出来ない日本の深刻さ                                                                    ========================================================  福島原発事故が起きてしばらくした時、私は思った。この事故の 正しい解決は既存の支配体制では出来ない、と。  なぜならば福島原発事故は天災とともに人災であり、その人災を 起こした者こそが既存の支配体制の総ぐるみであったからだ。  だから福島原発事故の解決はそれまでの権力構造の外にあった者 たちの手で行うほかはない、と。  それから一年ほど経っていまその事が証明されつつある。  一つは外国からの事故究明圧力だ。  米国が事故直後の米国の対応を示す内部議事録を一方的に公表した。  メディアはその背景にある米国の意図について何の調査も検証も しようとしないが、これは米国の物凄い意思表示なのである。  菅・野田政権の原発事故対応に対するこれ以上ない批判である。  時を同じくして政府の事故調査・検証委員会なるものが海外の専門 家を招いて国際会議を開いた。  その場で外国の専門家たちが極めて強い口調で日本政府の対応を 非難した。  畑村委員長は他人事のようにこれらの声を最終報告書に反映する などととぼけ顔だが(2月26日日経)、問われているのは何の検証 もできない畑村政府調査・検証委員会なのである。  もう一つの注目すべき動きは、原発事故の責任を問う市民による模擬 裁判が開かれているということである。  政府や東電の当時の責任者を被告としてその法的責任を明確にしよう とする動きだ。  「これだけ大きな事故(を起こしておいてそ)の責任を、なぜ誰も とらないのか」という第五福竜丸の元乗組員の気持ちは国民全体の 気持ちに違いない。  日本政府がなすべきことはただ一つである。  それは福島県民をはじめとした国民の代表による真相究明委員会を 国の責任で立ち上げて、当時の責任者全員から真実を語らせ、それを 政府の福島原発事故調査・検証報告書として内外に公表し、二度と このような事故を起こさないという決意を示す事だ。  そうすることによってはじめて、脱原発問題も、東電国有化問題も、 再生エネルギー促進の問題も、おのずと正しい方向に解決される。  それは模擬裁判のように当時の責任者の法的責任を問う事を目的と するものではない。  真実を正直に語らせることによって正しい調査・検証を行い、正し い記録を後世に残し、その反省に立って正しい今後の政策をつくる事 を目的とするものだ。  真実を述べる事と引き換えに法的な責任は問わないといういわば 司法取引だ。  法的には責任を問われなくても政治的責任は明らかにされる。  それで十分である。  福島原発事故を国民の手で正しく調査・検証し、その責任を所在を 明確にして再びそのあやまちをくりかえさない事を誓う。  それこそが我々があの太平洋戦争終結の際になし得なかった事だ。  日本の戦後の民主化が不徹底に終わり今日の混迷を招いてしまった 原因だ。  その過ちを我々は再び繰り返してはならない。  政府にそれを許してはならない。                         了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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