□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年2月18日第138号 ■ ========================================================= 罷免に値する玄葉外相の国会答弁拒否発言 ======================================================== 昨日(2月17日)の衆院予算委員会で外交・安保の集中審議 行なわれた。 テレビ中継を止めていたNHKも批判をおそれたのか、さすがに 集中審議だけは放映を再開した。 外交・安保は私の関心事だ。私は時間の許す限りそれを見た。 じつに緩んだ国会質疑から始まった。それが延々と繰り返された。 与党の八百長質問とその質問者の質の悪さはいつもの通りだが 外交・安保となると自民党は民主党と同じだ。 公明党はイラク戦争を支持した小泉政権に加担して平和政党を とっくにかなぐり捨てた対米従属政党だ。 だからまったくやる気がない。 あまりのくだらなさにテレビにものをぶつけようと思ったほど だが、終わりにさしかかって、共産党の赤嶺議員と社民党の照屋 議員の質問になったとたん俄然おもしろくなった。 すなわち両議員は例の日米共同報道文書の裏にある日米密約に ついて問いただしたのだ。 おりからその日の朝日新聞は、パネッタ米国防長官の下院軍事 予算委員会の爆弾発言を報じていた。 すなわちパネッタ国防長官は在沖縄海兵隊のグアム移転規模が 縮小しても日本側が負担を減らすことはないと爆弾発言をした という。 「非常に寛大なことに彼ら(日本)は、いかなる計画変更が あっても支援すると言っている」とまで話したという。 これをついて赤嶺議員は玄葉外相に真偽を迫ったのだ。 それに対し玄葉外相は「これから交渉して決める話だ」と逃げる ばかりだ。 そこを赤嶺議員は米下院軍事委員会の議事録を引用しながら、 さらに追及した。 聞いているのは日本負担が交渉でどうなるかではない、米側に 減らさないと日本が伝えていたのかどうかだ、パネッタ発言は そう言ってる、と詰め寄った。 玄葉外相の噴飯発言が飛び出したのはその時だ。 繰り返し答えているではないか、もうその質問はするな、と 気色ばんで言ったのだ。 そう言っていたに違いないのにそれを認める訳には行かない から答弁拒否をしようとしたのだ。 私も官僚時代ながらく国会を見てきたが、いくら共産党が大人 しくなってしまったからといって、こんな傲慢な発言を聞いた事 がない。 かつてなら国会審議が即座にストップして外相罷免要求に つながるところだ。 その後に続く照屋社民党議員の質問も国民の声を代弁するもの だった。 つまりグアム移転経費について日本は分担予算を毎年払い続 けている。ところが米国はその予算を未使用のままだ。移転作業 がストップしているからだ。それでも日本は来年度も移転費を 計上し続けている、これこそ税金のムダではないか、と。 さらにまた在日米軍基地の損害賠償訴訟の判決で住民に賠償 が認められた場合、日米地位協定で米軍の賠償支払い分担が決め られているのに、これまで米国は一切負担せず日本政府が肩代わ りし続けて来た事実を指摘して、すべて税金だ。こんな予算の 使い方を許しておいて増税などとは国民は許さない。予算の 見直しを求める、とつめよった。 残念ながらもはや共産党や社民党が何を言っても相手に されない。 赤嶺議員も照屋議員もあきらめているかのように、その 追及に政府を追い詰めるという迫力がない。 それよりも私が驚いたのは、きょう(2月18日)の各紙の どれもこのやり取りを報じていないことだ。 ひと昔前では考えられないことだ。 これでは国会は無力だ。 日米密約は繰り返される。 どんなに矛盾した日米同盟関係でもやり過ごされる。 この国のメディアはすっかり米国の手先のようになって しまった。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)