□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年2月15日第126号 ■ ========================================================= 野田民主党政権は何をやったらいいのか分からなくなっている ======================================================== 民主党政権の最大の危険性は、重要な政策についてその決定 プロセスや責任の所在が不明なままにどんどんと決められていく ことにあると私は指摘し続けてきた。 それは野田民主党政権になって特に目立つ。 そしてそれは最近になってますますひどくなっている。 きょう(2月15日)の朝刊各紙は日銀がインフレターゲット 政策に舵を切ったと一斉に報じている。 すなわち日銀は14日の金融政策決定会合で消費者物価の伸び 率年1%を目標にすると決めた。 日銀は政府と独立しているという建前だがそれを信じる者は誰も いない。これは野田政権の方向転換だ。 2月9日の衆院予算委員会では、日本の財政危機を乗り切る最善 策は、いわゆる財政健全策か成長優先策かという根本問題について、 野党自民党が論戦を挑んだ。 その事を私は2月10日のメルマガ第116号で書いた。 その時の日銀、政府の答弁から見れば、わずか数日で明らかに 大きな政策転換を行なったことになる。 それにも関わらず、一切その説明はない。誰がそう決断したのか も分からない。 きょうの朝刊には国民生活に多大の影響を与えるもう一つの 大きな政策が閣議決定されたと報じられた。 マイナンバー法案の閣議決定がやはり2月14日に行われた。 いわゆる国民共通番号制度の導入である。 私は一概にこの制度が悪いとは言わない。 世界的にも多くの国が導入している。 それによって行政手続きが効率化できる面はあるだろう。 しかし、この制度は個人情報の国家による監視であるとか悪用 の危険とか、その導入を巡って賛否が分かれた大きな問題である。 特に国家権力の信頼が地に落ち、国家権力の危うさが指摘され ている今、この制度を導入する危険性は看過できない。 ところがそれがあっさりと閣議決定されるところに野田政権の 乱暴さを見る。 自民党と言えどもこのような乱暴な事はしなかった。 野党やメディア、国民が許さなかった。 ところが今の野田民主党政権は何でもできるかのようだ。 しかも野田民主党政権の乱暴さ、無責任さはこれだけではない。 あれほど不完全で説明のつかない「税と社会保障の一体改革案」 を17日に閣議決定するという。 野党との協議が不可能になったから見切り発車するという。 そう言えば、私がもっとも危険視している秘密保全法案に ついても国会提出に向けて準備中だという(2月9日東京新聞 「こちら特報部」) こんな法案を急いでつくろうとする野田民主党政権は最悪だ。 突然発表された米海兵隊の切り離し移転合意については今更言う までもない。 私は思う。 今の民主党政権は内部崩壊しているのではないか。 何をしていいのか誰も分かっていないのではないか。 その一方で、政権政党に固執し、自信のなさとは裏腹にどんどん と強行にあらゆる政策を自分たちの手で進めていくしかないと思い つめているのではないか。 それをいいことに官僚支配体制がどんどんと逆行しているのでは ないか。 もしそうだとすればこれは危険だ。末期的状況だ。 政局にかまけている場合ではない。 事態は想像以上に深刻かも知れない。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)