□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年2月7日105号 ■ ========================================================= 歴史的転換期にさしかかった日米同盟と日本の命運 ======================================================== おおげさな標題を掲げて恐縮だが、それほどの大きな動きで あると思っている。 いまから一年半ほど前にこのメルマガを書き始めた時、私は 冒頭で宣言した。 すなわち、このメルマガで私が目指すものは、反権力(権力犯罪 の追及)だとか、法の支配の実現だとか、対米従属外交からの自立 と平和外交の回復だとか、判官びいきだとか、いくつかの大きな テーマを繰り返し取り上げ、それらのテーマを日々のニュースの中 にある真実を追求することによって実現していきたいと。 そのテーマの中でも私が最も関心を抱くのが日米関係である。 その日米関係が戦後66年を経て間違いなく歴史的転換期を迎え ている。 突如として報じられた「グアム移転切り離し」問題は、決して 沖縄の米海兵隊移転や普天間飛行場問題だけの話しではない。 その事をもう一度だけ書いて終わりにしたい。 少し長くなるがご容赦願いたい。 メディアも徐々に本音を書き始めた。 というよりもウソを書き続ける事が出来なくなったという のが本当のところだろう。 野田首相の4月訪米までに急速に動く「新しい日米同盟」に ついて、米国の本音、日本の対応、メディアや解説者の解説振り、 この三つの一挙手一投足を見逃さず、一字一句を見落としては ならない。 まず最初に間違ってはならないのは、今度の一連の動きは日米 双方の話し合いで始まったのではなく米国が米国側の事情で一方的 に要求してきたものだということである。 さすがの朝日も2月7日の社説でそれを認めている。 「海兵隊の先行移転は、米国政府の事情によるものだ」と。 米国側の事情とは何か。それはイラク・アフガン戦争で疲弊した 米国財政事情と、テロとの戦いから中国包囲網にシフトせざるを 得ない米国防事情である。 だからNHkの大越健介などメディアが繰り返す「普天間基地 問題についての日本政府の対応に痺れを切らした」というのは 真っ赤なウソなのだ。 米国の事情からなされた変更要求であるから、それが日本に とって得になるものはほとんどない。 在沖縄海兵隊の移転一つを取ってみても、確かに海兵隊の一部は 沖縄から移転するが、海兵隊の司令部やその家族の大半は残る。 しかも海兵隊の移転先は岩国も含まれる事がきょう(2月7日) の各紙で明らかになった。 岩国基地についてはすでに米軍厚木基地の空母艦載機の移転が 住民の抵抗を押さえつける形で決められている。 それに加えて海兵隊が移転するとなると岩国市民の反発は必至 だ。岩国は第二の沖縄になる。 問題は海兵隊の移転数だけではない。 そもそも米国の変更要求の出発点が国防費削減にあるのだから、 日本への財政負担増を要求してくることは当然だ。 グアム移転経費の日本側分担は、移転する海兵隊の数を基に計算 され、決められたはずだ。 ところが移転数が減っても日本の負担額は減らないという。それ どころか増やせという。 海兵隊の移転が先行するというのに、辺野古沖への移転は計画 どおり進めろという。 なぜこのような矛盾した要求を日本は飲まなければならないのか。 それはそもそも2006年のパッケージ合意が国民を欺くもの だったからだ。 それを2月7日の毎日新聞の社説が見事に次のように書いている。 「もともと普天間周辺の住民の危険除去を目的とする飛行場の 返還・移設と、米軍再編の一環である海兵隊のグアム移転は、 歴史的経緯もその性格も異なる。それが、06年の米軍再編に 関する日米合意でセットにされたというのがいきさつだ」 この認識こそ国民が正しく知らなければならない真実である。 メディアはまた日米両国の「合意」がほぼ固まったという表現 を多用する。 ワシントンで始まった外務・防衛の審議官級協議で「大筋が 合意」されると書く。 しかしこれは「合意」ではない。「譲歩」だ。「飲まされる」 のだ。 考えても見るが言い。合意のための交渉、協議はの場はいつも 外務・防衛の審議官級協議である。 審議官と言うと聞こえがいいが、これは局長にも満たない課長 に毛の生えた下っ端官僚だ。 彼らがどうして米国の要求を断れるというのか。 さすがの朝日も社説で書かざるを得ない。 「国内事情や戦略環境の変化に米国はドライに対応したのだ」と。 「ひるがえって日本政府はどうか。日米合意を踏襲すると繰り 返すばかりでいつも受身でしかなかった」と。 そして朝日は「日本独自のしたたかな構想が要る」と書いては 見る。 しかしそれがない物ねだりであることを百も承知で書いている のだ。 次にこの突然の米国の動きは、決して突然ではないということだ。 交渉という名のシナリオ作りはこれまで国民の目から隠されて官僚 の手で深く静かに行なわれて来た。 それがはからずもこのタイミングで表面化したのである。 それを2月7日の東京新聞は次のように説明してくれている。 「・・・この時期に出てきたのは(2月13日の予算発表をにらん で)『米国防総省が議会有力幹部に根回ししているうちに一部メディ アに漏れた』ため(日本外務省筋)」だと。 最後に、ここが一番重要であるのだが、この審議官級協議の議題 は何も在沖縄海兵隊の移転問題に関する事だけではないということだ。 2月7日の産経新聞がスクープっしている。 これは日米ガイドラインの再改定であると 日米安保を対中国シフトに舵をきることだと。 それを野田首相の訪米の手土産として急いで間に合わせようとして いるのだと。 これこそが今度の「海兵隊切り離し」騒動の本質である。 日本を守ってもらうはずの日米安保が、中国包囲網を狙う米国 の安全保障政策の一部と化すという本質的に転換である。 おまけにその転換の負担増をあらゆる面で引き受けさせられる。 憲法9条を否定し、日本国民に多大の負担を課すこの歴史的政策 転換が下っ端官僚の手で粛々とつくられる。 その間に日本では、防衛大臣は笑いものにされ、首相は消費税増税 に政治生命をかけている。 これが今の日本である。 その事をメディアは正しく国民に伝えようとしない。 日本の不幸である。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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