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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

京都議定書延長を拒否した日本の大失策をあらためて思い起こす
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■  天木直人のメールマガジン2012年1月17日第38号 ■     =========================================================     京都議定書延長を拒否した日本の大失策をあらためて思い起こす                                                                           ==========================================================  身内の病気見舞いの為に数日前から京都に滞在し、入院先の京都 第二赤十字病院通いをしている。  京都在住の読者ならご存知であると思うが第二赤十字病院は京都 府庁の隣にある。  毎日通り過ぎる京都府庁の玄関前には、1997年12月24日に 設置された「地球環境京都宣言」と題する大きな木製の看板が高らか に掲げられている。  いうまでもなく京都議定書が採択された事を喜び、それを記念して つくられたものだ。  そこには、困難な交渉の議長国を引き受けた日本が、苦労の末に まとめ上げた京都議定書を喜び、その歴史的な国際合意が京都で採択 された事を誇りに思うと書かれている。  これからの人類は経済的豊かさだけを求め続けるのではなく、地球と 共存していくことこそ崇高な目標であるという趣旨の文章が力強く書か れている。  京都議定書の作成にかかわった当時のすべての人々の感動の息遣いが 伝わってくるようだ。  間違いなく京都議定書は、京都で、そして日本でつくられたのだ。  それから14年たった昨年12月、原発事故の対応で頭が一杯の細野 原発担当大臣は皮肉にも環境大臣を兼任していた。  その細野大臣は、南アフリカで行われていた京都議定書第7回締約国 会議に駆け足で出席し、真っ先に京都議定書の延長参加を拒否する演説 をぶった。  これが三流官庁である細野三流大臣のすることだ、と当時のメルマガ で書いた。  今あらためてその大失策を思い起こす。  確かに1997年に採択された京都議定書は関係諸国の利害対立の妥協 の産物だ。  温暖化ガスの二大排出国である米国と中国が協力しない国際合意は片手 落ちだ。  交渉べたの我が国はあの時温暖化ガス削減目標値の決定に際しては不当 に不利な立場を飲まされた。  それらに加え、そもそも地球温暖化と排出ガスの因果関係すら疑われる 始末だ。  そんな不平等、不合理な国際合意に縛られていた日本にとっては、この 時ばかりと京都議定書を白紙に戻すことが経済通産省や財界の要望で あったのかもしれない。  事実、経済界はこれを歓迎し、御用学者の中には日本は決して孤立など しなかった、会議直後にさかんに喧伝していた者もいる。  おりから原発事故の最中だ。日頃地球温暖化防止に熱心な者たちの反発 の声も小さかったような気がする。 小さかった  しかし、日本は取り返しのつかない大きな誤りを犯したと私は思う。  地球環境を守る事は人類の崇高な責務だ。これを否定できるものは いない。  そうであるならば、いかに利害が対立し、その調整が困難だからと 言って、その努力を放棄する事の理由にはならない。  だからこそ今度の南アフリカの会議でも京都議定書を否定することには ならなかった。  皆がその精神を受け継ぎ、交渉を継続する事で終わった。  責められるのは自国の利益を優先する国々である。  特に責められるのは最初から譲歩する気のない最大の排出国である米国 と中国である。  思えば京都議定書の精神はまさしく憲法9条の精神ではないか。  国際的合意がいかに困難であっても、人類はその理想に向かって努力する 事をあきらめてはいけないのだ。  その議定書を作った日本が率先してそれを拒否したことは世界の信用を 失ったのだ。  目先の利害や成果にとらわれて現実的対応を繰り返す。その結果誰も真の 勝者になることなく、すべての国や国民が不幸になっていく。  それこそが、我々が今目撃している世界の混迷ではないのか。  日本は、どんなに困難であろうとも、京都議定書の精神を最後まで掲げ ながら米国や中国や開発途上国に働きかけるべきだったのだ。  それはあたかも憲法9条を持つ日本が米国や中国やその他の軍事覇権国に 対して憲法9条の精神を高らかに掲げて働きかけていくことと同じである。  京都議定書の延長を率先して拒否した日本はもはや二度と地球環境問題で 世界を指導できる立場に戻れないだろう。  平和についてだけはその愚を犯してはならない。  憲法9条の精神を捨ててはいけない。                               了   ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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