□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2012年1月2日第3号 ■ ========================================================= 米国という国を正しく知る必要性 ========================================================== 今年一番注目すべき国はやはり米国である。 それは大統領選挙の年だからだけではない。 米国は内外に大きな問題をいくつも抱えているからだ。 よくも悪くもそれらに対する米国の対応が世界に大きな影響を 与えるからだ。 ましてや対米従属から自立できない日本にとっては米国の政策が 及ぼす影響は圧倒的に大きい。 だからこそ我々は米国という国を正しく理解しなければいけない。 いたずらに崇拝するのでもなく、反米一辺倒でもない、冷静かつ 客観的な見極めが必要だ。 それは、そのまま、日米同盟をすべてに最優先し、対米従属政策 を繰り返すしか能のない硬直したこの国の政治家や官僚に対する批判 でもある。 本年もまた米国は多くの顔を見せてくれるだろう。 その都度、私は感じた事をこのメルマガで書いて行きたい。 これから書くこともその一つである。 昨年11月にライス元国務長官が回顧録「最高の栄誉」という本を 出した。 私がその事を知ったのは昨年(2011年)11月4日の読売新聞が ワシントン発山口香子記者の記事として書いたものを目にした時だった。 そこには、ライス国務長官は、北朝鮮をテロ指定国家から解除した 張本人であった事を認め、チェイニー副大統領と真っ向から対立した 事が書かれているとあった。 そしてブッシュ大統領はライス長官の進言を聞いてあっさり指定 解除したこと、ライス長官は北朝鮮の金桂寛(キムゲガン)外務次官が 指定解除すれば核問題の検証を文書化する事を約束したから指定解除 したこと、しかし成算はなく、北朝鮮が約束を守らなければブッシュ 大統領は厳しい批判にさらされることは分かっていたが踏み切ったこと、 そして見事にそれが失敗したことなどが回顧録に書かれているという。 このライス国務長官のあまりにもいい加減な判断が米国政府の政策 となり、ヒル大使がそれを忠実に実行し、そして日本は振り回された のである。 要するに、私が言いたい事は、米国と言う国は、時として驚くほど いい加減にその政策を決定、実施する国であるということだ。 米国のすることがすべて深謀遠慮の結果であり、それを重視しなけれ ば日米関係が大変な事になる、というものではない。 この読売新聞の記事からしばらくして、再びライス国務長官の回顧録 を取り上げたもうひとつの記事に出くわした。 昨年(2011年)12月30日の産経「明日へのフォーカス」に おいて高畑昭男論説副委員長が「ライス氏の大胆な回顧録」と題して 要旨つぎのように書いていた。 ライス氏の本(回顧録)は出版社が「驚くべき率直さ」と銘打った 通り、外交の重要場面で外国首脳や要人らと交わした会話が直接引用 形式で登場する。読んでいて「ここまで書いていいの?」というほど 生々しい。相手が故人ならまだしも、存命の指導者たちにとっては、 「チョー危ない暴露本」と言えなくもない・・・ そう書いた後、高畑氏は次のような事例の数々を引用している。 すなわち2008年にリビアを訪問した時にライス長官はカダフィ 大佐から褒められて舞い上がった事、ロシアのラブロフ外相が、 グルジア和平実現の条件はサーカシビリグルジア大統領をクビにする 事だと要求してきた事、中東和平でオルメルト首相がライス氏に大胆 な和平案を持ちかけたがリブニ外相が「この人(オルメルト首相)は 国内の支持を失っている」から提案に反対しろと求めた事、そして やはり北朝鮮問題については、ヒル国務次官補に全権を委ねてテロ 指定解除に踏み切ったが騙された事などなど。 こんないい加減な国務長官を、ブッシュ大統領は家庭教師のごとく 重用し、あのチェイニー副大統領より信頼し、その政策を決めていた のだ。 こんな機密情報をライス紙が暴露しても、米国政府も政治家も誰も 機密漏洩でライス氏を訴追しようとしないのだ。 マニングやアサンジュは犯罪人となってもルイス氏は不問にする。 身内に甘い米国の一側面を見事に示している。 ライス国務長官の回顧録は間違いなく今の米国の一側面だ。 そんな米国のいう事に全面的に従う事の危うさに日本の政府、官僚 は気づかなければならない。 米国という国を正しく理解しなければならない。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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