□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年12月26日第921号 ■ =========================================================== 歴史的な日中首脳会談となる好機を逸した愚鈍な野田首相 ========================================================== 野田首相の訪中の意義は、延期前と後で180度異なるものに なるはずだった。 予定通り12月12、3日に行われていたならば無意味なもの に終わっていただろう。 無意味なものだからこそ、中国側の都合で簡単に延期されたのだ。 もし日本側が年内の訪中にこだわらなければ訪中は年を越し、日本 の政局の混迷により更に先延ばしになっただろう。 ところがメンツの為に年内訪中にこだわった日本に対し中国が応じ、 12月25日の訪日が決まった。 その直後の金正日総書記の急死である。 日中首脳会談の意義はがらりと変わり、俄然重要なものとなった。 野田総理はついている。強運だ。 ただし野田首相がその歴史的好機に気づき、正しく対応していれ ばの話である。 日中首脳会談の報道を見るにつけ、野田首相はみすみすこの好機を 逸したと思わざるを得ない。 12月26日の各紙は一面で外務官僚の発表を垂れ流し有意義な 訪中であったと報じている。 「朝鮮半島の平和と安定は両国の共通利益との認識で一致した」 「両国の戦略的互恵関係の進展を推進する」 などがそれである。 ところがその同じ新聞が、外交面の解説ではこぞって疑問符をつけ て報じている。 「対北朝鮮 思惑にはズレ」(朝日) 「連携 具体策見えず」(毎日) 「『対北』 中国確約なし」(東京) 「『対北』 カギ握る中国」(読売) 「対北思惑 日中すれ違い」(産経) 「対北朝鮮 中国頼みも」(日経) などがそれである。 無理もない。 対北朝鮮外交は、つまるところ核兵器を放棄しない限り北朝鮮を認め ない米国と、対話重視で北朝鮮を国際社会に受け入れようとする中国と のせめぎあいで決められてきたからだ。 対米従属外交の象徴である米日韓連携によるこれまでの対北朝鮮外交 では何も動かない。 いまこそ拉致問題を抱える日本は、金正日の死を好機ととらえ、日朝 正常化の実現を最優先して包括的に解決する事に頭を切り替えるべき なのだ。 それを中国首脳に伝え、中国の協力を得たいと迫ったならば、中国 は腰を抜かしたことだろう。 中国はそれに反対できない。 そして日中が対北朝鮮外交で手を組めば米国が入り込む余地はなく なる。 日本は対北朝鮮外交で主導権を持つ国になれる可能性があったのだ。 実はあの小泉元首相が北朝鮮外交では自主、自立した外交を行なおう としたことは意外に語られない。 彼はあの時、米国への事前の協議なく、拉致問題と国交正常化を包括的 に解決しようとした。 それに激怒した米国が、北朝鮮の核問題を持ち出して、核を持とうと している北朝鮮との国交正常化を勝手に進めるのは許さないと圧力を かけた。 以来日本の対北朝鮮外交は頓挫してしまった。核とミサイルの事 ばかり言うようになった。 野田首相に大局観と外交に対するリーダーシップがあるのなら、今回の 日中首脳会談は異なったものとなっていたに違いない。 それが出来ない野田首相はやはり対米従属最優先のこれまでの首相と 同じだ。 いや、彼は何の悩みもなさそうだ。 今度の日中首脳会談の歴史的意義をまるで感じていない風情だ。 そうだとしたらの野田首相はただの愚鈍な政治家であるということだ。 おそらくそうなのだろう。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

新しいコメントを追加