□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年12月14日第886号 ■ =========================================================== TPP政府代表選出が遅れる理由 ========================================================== 私にとってのきょう一番の興味深い新聞記事はこれだ。 すなわち12月14日の毎日新聞が次のように報じていた。 「(野田)首相は13日、(TPP交渉参加に向けた)府省横断の 官僚チームを発足させることを決めたものの、肝心の政府代表は空席 のまま決定は年明けに先送りされた」、と。 これは異常な事だ。 代表が決まらないまま見切り発車するチームというものがあるだ ろうか。 しかし、私が注目したのは、その理由の一つに次のような政治主導 の発言があった事である。 すなわち野田民主党政権の有力閣僚である枝野経済産業大臣が、内定 していた野上義二外務省OBの政府代表人事に待ったをかけたという。 「野上氏は(外務省事務)次官時代、民主党の田中真紀子元外相と 関係が悪く、支障が出る」、と。 これこそが政治主導人事である。 政府代表の人選を能力ではなく政局がらみで判断するのは確かに次元 は低い。 しかし、これもまたれっきとした政治主導人事である。 私は12月11日のメルマガ第877号において、外務官僚に取り込 まれた野田首相、玄葉外相ではTPPの政府代表が外務官僚OBの天下 りになるのは避けられない、と書いた。 外務官僚が外務官僚たちの都合で決める人事を追認するだけに終わる だろうと書いた。 それが見事に外れた訳だ。 その読み間違いを素直に認めた上で、私はTPP政府代表をめぐる 人事は俄然面白くなってきたと指摘したい。 確かに枝野氏の言うように、野上義二氏がすんなりと政府代表に なっていたら、その後支障が出ただろう。 野田政権が続く限り外務委員長は田中真紀子だ。TPPの国会審議に 必ず影響が出てくる。 しかしもう一人の政治家を忘れてはいけない。それが鈴木宗男だ。 おりしも彼は刑期を終え、晴れて政局の中に戻ってきた。 野中氏の外務省は田中真紀子を追い出す手段として鈴木宗雄を使った。 そして田中真紀子の追放に成功した後、もう一人の邪魔者である鈴木 宗男を切ったのだ。 鈴木宗男が騒ぎ出されてはたまらない。 野上義二氏をTPP政府代表にすることは出来ないのだ。 こんな発想は野田首相、玄葉外相、藤村官房長官では到底出てこない。 しかし野田政権には枝野幸男というもう一人の有力閣僚がいたという わけだ。 そして私は、枝野大臣が野上義二氏の政府代表に反対したもう一つの 理由があると思っている。 それは枝野大臣が経済産業大臣であるということだ。 経済産業省はWATT、APECなどの国際経済交渉から始まって日米 経済摩擦に至るまで、経済外交においては常に外務省と主導権争いを続け てきた省庁だ。 ここでTPP政府代表を外務省OBにすんなりとらせるわけにはいなかい。 野上義二氏の政府代表人事はつぶさなくてはならない。 それには自らの大臣をおだてあげて、重用して、活用しなければならない。 外務省との権限争いの先頭に立たせるのだ。 私がこれまで何度となく見てきた通産省(経済産業省)の常套手段である。 TPP政府代表人事の選出が遅れるもう一つの理由ははやり官僚たちの 縄張り争いなのである。 野田政権の政治的指導力のなさがその混迷に拍車をかけているのである。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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