□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年11月25日第827号 ■ ============================================================= 「提言型政策仕分け」は次期戦闘機購入を凍結すべきだ ============================================================ 蓮舫行政刷新担当大臣が本当に政策仕分けをする気なら、次期 戦闘機の導入をしばらくは凍結したいと提言すべきだった。 その正当な理由は十分にある。 米国議会で赤字削減協議が決裂し国防予算が強制削減される 可能性が出てきた。 そうなれば、ただでさえ遅れている次期戦闘機の最有力候補F35 (米ロッキード・マーティン社)の開発はさらに遅れ、導入したく ても出来なくなる。 防衛省が次期戦闘機の決定を急ぐのなら他の候補機であるF-18 かユーロファイターのいずれかを選べばよい。いずれも性能には遜色 はない。 しかもF-18は同じ米国のボーイング社である。米国政府には顔 が立つ。 ところがそうはいかない低次元の事情が航空自衛隊側にあるのだ。 それを見事に言い当てた記事を月刊情報誌「選択」11月号に 見つけた。 「ステルス偏重のゆがんだ欲望―『FX選定』防衛省のお粗末」と 題する特集記事がそれである。 その記事が書いていることは一言で言えばこうだ。 防衛省は2007年4月に沖縄付近で行なわれた模擬空中戦で米 空軍のステルス戦闘機F-22に完敗した。空自の戦闘機はレーダー で相手を発見できず、次々に撃墜された。 これで空自はステルス機のとりこになった。 なんとしてでも次期戦闘機はF-22だとなった。 ところが米議会によるF-22の輸出禁止決議が成立し、防衛省は 導入を断念せざるを得なくなった。 かわりに同じステルス性能を持つF―35でどうかとゲーツ前国防 長官に進言され今日に至っている。 ところがこのF35は開発が遅れ、将来どんな不都合が起きるかも わからない段階だ。 この点については、11月24日の読売新聞「論点」で軍事アナリ ストの小川和久氏も言っている。 F-35の懸念は、米国防費の削減や開発の遅れで2016年度の 納期に間に合わない、と。 しかしステルス性能を持った戦闘機欲しさに防衛省は決めている。 その証拠が、今回に限っては試乗せずに書面審査で決めるという 異例の手続きの導入だ。 F―35に試乗してから決めると不都合が出た場合は導入できない。 そこで従来の選定手続きを無視して今回だけは書面審査で決めよう としているのだ。 日本とほぼ同じ時期に次期戦闘機の導入を決めるインドですら、 自国の操縦士が試乗して、十分な性能テストをした後で決めている というのにである。 自衛隊制服組の暴走を許してはいけない。 空自の玩具にしては、一機数十億円は高すぎる。 それを10年にわたって100機も購入するなどとは無駄遣いも 甚だしい。 生活に困っている国民を救う事が優先されるべきだ。 今の戦闘機をもうしばらく使う事に何の支障があるというのか。 戦闘機による空中戦(ドッグファイト)など、今の世の中で起きる 可能性はゼロである。 どんな立派な戦闘機を導入しても、自衛隊の訓練にしか仕えない 自衛隊の贅沢なオモチャである。 提言型政策仕分けとは、まさにこのような政策の仕分けを行なうこと であるべきなのである。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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