□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年11月14日第798号 ■ ============================================================= やはり裏があった中国漁船領海侵犯事件 ============================================================= 私は11月10日のメルマガで2回(第788号および789号)に わけて「中国漁船の領海侵犯に毅然とした対応をしないこの国の政治」 と題して、野田民主党政権の姿勢を批判した。 すなわち、一年前の尖閣諸島沖事件の場合は領土問題と絡んだ政治的 な事件であったからやっかいな問題であったが、今回は完全な領海侵犯だ。 こういう事件こそ外交的に毅然とした対応を示し中国を牽制するととも に、国内の対中タカ派に中国脅威論を煽らせる隙を与えてはならない、と。 それこそが平和外交の外交力の見せ所だ、と。 どうやら私の意見は野田政権にはまったく通用しなかったようだ。 きょう(11月14日)発売の週刊ポスト11月25日号に秀逸な調査 報道が掲載されている。 「アワを食った野田内閣、『中国漁民なんか逮捕すなっ!』示談金払っ て早々に釈放」 こういう見出しで書かれた3ページにおよぶその特集記事は国民必読の 記事である。 示談金とはもちろん罰金30万円の略式起訴でスピード解決した事を 皮肉っているのだ。 週刊ポストに敬意を表して、ここでその内容を紹介することは控えたい。 関心ある読者は買い求めて是非お読みいただきたい。今週号の週刊 ポストはその価値は十分にある。 ここでは次の二点だけを指摘しておきたい。 ひとつは「事態におそれをなした官邸側は報道規制を徹底させた」 事である。 どうりで当時の報道がこの事件をまったく報道しなかったわけだ。 もはや大手新聞は本来の調査報道の努力を放棄し、政府の言いなりに 成り下がっているという事である。 ふたつは、海上保安庁は職務に忠実に領海侵犯を取り締まろうとし、 政治決断を求めたのに対し、玄葉外相(11月22日)、野田首相 (12月)の訪中を控えた官邸が、「中国政府とコトを大きくする つもりはないと(外務省に)伝えさせた」(官邸スタッフ)事である。 TPP参加問題で対米従属に終始したと思ったら、今度は中国に譲歩 する。 そのくせ米国に乗せられて中国脅威論をふりまいて中国を牽制する。 やっていることが支離滅裂だ。 野田民主党政権は危うい。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)