□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年10月29日第760号 ■ ============================================================= TPPは安保闘争の再来となるのか ============================================================= 中東の民主革命の連鎖とか、欧米経済の破綻とか、ウォール街占拠 デモだとか、考えられなかった歴史的地殻変動が起きつつある。 それがついに日本でも起きるのか。 大袈裟に言えばそう思えてくるのがTPP反対運動の拡がりだ。 私はTPPについては、野田首相は早くから参加表明を決めている と何度も書いてきた。 野田首相にとって、首相にとどまるつもりなら、11月にオバマ 大統領と二回目の首脳会談を行なう時に、TPP参加表明をするし ないからだ。 「参加の決断はできませんでした」では鳩山首相の二の舞いなる からだ。 だから、対米従属から抜け出せないこれまでの日本の常識では、 結論は一つしかないのだ。 あとはそこへ持って行くアリバイづくりだけだ。 その事を見事に書いているのが今日(10月29日)の産経新聞 のスクープである。 すなわち野田首相はTPPプロジェクトチームを立ち上げ16回も 総会を開催して官僚や専門家からヒアリングを重ねてきた。 そのプロジェクトチームは10月28日から政治判断に向けて議員 同士の議論を始めた。 同じ日の10月28日には野田首相は所信表明演説をして「できる だけ早期に結論を出す」と述べた。 11月4日にはプロジェクトチームの最後の総会が開かれ、そこで 意見集約を図る。 そして11月2日―11月5日にフランスで開かれるG-20首脳 会議に出席するのだ首相の帰国を待って最終協議をし、11月7日に 野田首相は記者会見を開いてそこで国民に参加表明をする。 そして11月12日からのホノルルAPECサミットに臨む。 これである。 ここまでは想定どおりだ。 しかし、私が想定しなかった事が起こりつつある。 それは、野田首相がTPP参加を急ぐのは米国の圧力に屈したからだ、 TPPは日本のためにならないばかりか、米国に日本の市場を開放する だけだ、という声が日増しに高まっていったことである。 そのスピードの速さと反対の声の強さは私の想定をはるかに上回る ものだ。 私がもっと驚いたのは、テレポリティックスで国民を洗脳するテレビ もそれを流すようになったことである。 NHKやフジテレビが、反TPPの論客である中野剛志の激しい対米 従属批判を流し、ついに10月29日の朝のTBS「みのもんたのサタ デーずばッと」においては、野田首相は米国の要請でTPP参加を急ぐ のだ、ということが与野党の議員から公然と言及されるようになった。 そこに出演していた政治評論家の岩見隆夫に至っては、安保闘争の 再来になるのではないか、と口走る始末である。 果たしてこの反TPP気運はさらに拡がるのか。 それとも、それもまたガス抜きで、産経新聞がスクープする「工程表」 に従ってTPP参加表明作業が粛々と進められていくのだろうか。 正直言って私にはわからない。 しかし安保闘争と違って、TPPの場合は国民生活の破壊に直結する。 反安保にくらべて反TPPは広く国民の中に拡がる可能性が強い。 ひょっとして安保闘争を上回る国民運動になるのかもしれない。 日本の戦後政治史の中で考えられない事が起きるかもしれない。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)