□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年10月19日第736号 ■ ============================================================= 役人天国を国民(住民)天国に転換する時だ ============================================================= 英国在住経験の長い作家の井形慶子と言う人が、10月19日の東京 新聞「本音のコラム」でこう書いていた。 「日本の社会は簡単な仕事でもたくさんの人手(公務員)が要るよう に仕組まれている」とは英国人の弁であると。 その例として井形氏は日本の車検、運転免許制度について次のように 英国との違いを書いている。 「・・・車を持てば二年に一度の車検が家計を圧迫。体の良い税金 徴収と整備業界の既得権益を守るシステムとしか思えない。各車検場は 役人の大事な天下り先だから。さらに運転免許の更新。優良運転手まで 講習とは。そこで配られる教本一式はゴミ箱行き・・・英国では・・・ 自動車税はCO2排出量で決まり、中レベルで年約1万円と合理的。 運転免許証更新も郵送で済み、コピーがあれば更新中でも運転できる。 以前は18歳で取得すると、住所変更、障害を負わない限り70歳まで は手続き不要だった・・・」 これは一例である。 あらゆる分野で同様のムダが行なわれている。 わが国の役人天国の本質は、まさしく「簡単な仕事でもたくさんの 公務員が要るように仕組まれ」、それが税金で担保されているところに あるのだ。 私はその英国人の言葉を読んで、かつてまだ私が現役の官僚の時、 ある地方に出張した時の事を思い出した。 私が官官接待を受けた料亭の主人が私に語った次の言葉を思い出した。 「うちのお得意さんは、地元の市長と警察署長と自衛隊隊長です」と。 その土地は、日本の地方にありがちな、さしたる産業のない地方の町 で、大半が公務員と自衛隊(これも公務員だが)で占められている町だ。 税金で暮らしている町なのである。 ここからがこのメルマガで言いたい事である。 このような公務員天国の一方において、いまや国民の多くはいくら 働いても給与は上がらず、ついに年金も受け取れなくなりつつある。 そこで鹿児島の阿久根市長や名古屋の河村市長や大阪の橋下知事の ように、公務員や議員の数を減らせ、給与を減らせ、政治はボランティ ア活動だ、という意見が出てくる。 私もその意見に基本的に賛成だ。 そんな事をすれば誰も公務員や政治家になるものはいない、サービス が悪くなるという意見が決まって出されるが決してそうではない。 公務員や政治家になりたいと思う者はなくならないし、彼らの多くが やっていることは誰でもできることだ。 それほど公務員や政治家は恵まれているのだ。 しかし、それを削減しようとすれば必ず抵抗にあう。不毛な争い になる。彼らもまた生活がかかっているからだ。 要するに税金を誰がより多く奪い取るかだ。 そこで考える。 公務員の定数削減や給与削減といった後ろ向きな形ではなく、皆が 納得する税金の分配方法はないものだろうか、と。 そこで思いつくのが公務員、政治家の職を皆で分かち合うという考 えだ。 つまり税金の分配を職業公務員や政治家に独占させるのではなく、 その職を住民にひろく開放し、その給与も国民(住民)に分配すると いう考えである。 職業公務員や政治家は少しはあってもいい。 しかし彼らの大半の仕事は誰でも出来る仕事だ。それを出来るだけ多 くの国民(住民)に非常勤や非正規職員として開放するのだ。 これこそが私の考えるベーシックインカムの根底にある考え方である。 それを地方から始める。これが「もう一つの日本」で実現したい改革 の一つである。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)