□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年10月20日第737号 ■ ============================================================= 秘密保全法案はやはり悪法だ。成立させてはいけない。 ============================================================= 私は10月10日のメルマガ第711号で、秘密情報を漏らした公務 員に罰則を課す秘密保全法案なるものを、民主党政権が来年の通常国会 に提出する方針を決めた事を知って、警鐘を鳴らした。 この法案の本丸はウィキリークス対策だ、政府の内部情報を告発する 公務員への罰則強化だと見抜いた。 ところが、誰も騒がない。 10月8日の東京新聞が小さく報じただけだ、この法案の危険性を 社説で掲げたのは10月8日の日経新聞だけだ、と書いた。 そんな私の警鐘で気づいた訳でもないだろうが、その後各紙が社説で 取り上げるようになった。 朝日が10月12日の社説で「『知る権利』を守れるのか」と題して、 見事にウィキリークスに言及した。さすがにウィキリークスの情報を 独占してひとりいい目を見た朝日だけのことはある。 そして、ひとたび情報が流出すれば瞬時に世界を駆け巡るから、政府 が情報管理に万全を期するのはあたりまえだが、政府の情報隠しの手段 にさせてはいけない、と書いた。 東京新聞は10月14日の社説で、やはり「『知る権利』を侵すな」 と題して次のように断じた。 1985年の中曽根康弘首相時代に、「国家秘密法案」が出されたが、 メディアや世論の反対によって廃案に負い込まれた。悪夢がよみがえった ような印象である。政府情報に投網をかけて丸ごと覆い隠すような法制 には強い憤りを禁じ得ない、と。 そしておくればせながら10月18日の毎日新聞が「情報隠しの恐れ 消えぬ」と題する次のような社説を掲げた。 沖縄返還交渉での日米密約文書を巡る問題では、外務省など政府の 不誠実な対応が訴訟を通じて明らかになった。都合の悪い情報の隠れ蓑 として使われるのでは、との疑念はぬぐえない。 西山太吉記者を輩出した毎日新聞にとって、情報公開といえば沖縄密約 だ。 ここまで大手各紙が問題視する秘密保全法案はやはりとんでもない悪法 に違いない。絶対に成立させてはならない。 しかし私は心配していない。 来年の通常国会はそれどころではないだろう。 山積する難問のどれ一つとして解決できそうもない野田政権は、今後 急速に国民の支持を失い、通常国会を乗り切れるかどうか私は疑問である と思っているからだ。 それにしても、と思う。 明らかに官僚主導と思えるこのような悪法を、情報開示を謳って政権を とった民主党が、官僚の言いなりになって成立させようとした。 そのこと一つを取ってみても民主党政権の裏切りは絶望的だ。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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天木直人(元外交官・作家)