□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年10月13日第718号 ■ ============================================================= 国の根幹を揺るがす領土問題と慰安婦問題 ============================================================= 10月13日の東京新聞外交面で二つの記事が小さく並んで掲載され ていた。 ひとつはロシアが北方領土で軍備を増強させているという記事だ。 もうひとつは韓国が慰安婦を含む犠牲者への賠償実現を国連加盟国に 求めたという記事だ。 東京新聞がこの二つの記事を意図的に並べた掲載したとすれば意味深長 である。 この二つの問題は何も目新しいことではない。毎度報道されていること だ。そう思って東京新聞が他意なく小さく取り扱ったのなら残念だ。 この二つは事態の推移によっては野田政権を直撃する問題なのである。 その時になってメディアが大騒ぎする前に書きとどめて起きたい。 国家間の紛争は武力で解決しようとしてはならない事は戦後の国際体制 の最大の合意である。 そして領土紛争は国家間の最大の紛争の一つだ。 だからロシアが北方領土において軍備増強をすることについては、日本 としてはこれ以上ない形で、つねに、すかさず、強く抗議すべきなのだ。 同じことは中国や韓国に対しても言える。竹島や尖閣諸島について実効 支配を目的に軍事的措置をとることは如何なる国も許されない。 これに対し日本の左翼は沈黙し、右翼は軍事的強硬手段で対抗しようと する。どちらも間違いだ。 これらの領土を放棄するのなら別だ。 いやしくも主権国家として領土権を主張するのであれば、軍事的手段で はなく政治的、外交的手段で、彼らの軍事的対応策に断固として抗議する。 それを避けてきた日本にとって、もはやこれらの領土はどんどんと日本 から遠ざかっていくだろう。 ひるがえって慰安婦問題はどうか。 これは人権にかかわる問題であり、感情的な問題であるからもっと 厄介だ。 左翼と右翼でまったく立場が異なる問題であるから国民が分断される。 たとえば社民党の服部良一衆議院議員は10月12日にソウルの日本 大使館前で行なわれた元慰安婦を支援する団体のデモに参加しともに闘う とシュプレルコールを上げた。 右派の産経新聞はこの服部議員の行動を記事にして、かつての岡崎 トミ子元国家公安委員長の同様の行為とともに、国会議員の行為として あるまじきことだと批判する。 国論を二分するこの問題について日本政府の態度がいつまでたっても 定まらない。 慰安婦問題は突き詰めれば日韓両政府の間における戦後処理の合意の 問題である。 日本政府は、「第二次大戦に関する賠償、財産、請求権の問題はサン フランシスコ講和条約と2国間条約で法的に解決されている」との立場で あり、韓国政府は個人の賠償請求権については未解決」との立場である。 この認識の違いは、右翼、左翼の立場を超えた根本的な問題である。 もし韓国政府が本気でそのような要求をしているのであれば戦後の 日韓関係は根本的に見直さなければならないということだ。 それはもちろん米国を巻き込んだ日米韓同盟関係にも影響が及ぶ。 それだけではない。日本と他のアジア諸国との間の戦後処理の関係に まで波及する問題である。 そうなった場合、今の日本に国家賠償を行なう国力はない。 日本は韓国に対し、首脳レベルでその事を正面から協議し着地点を 見出す努力をするほかはないのだ。 そしてその着地点について、それぞれの首脳がそれぞれの国民に対し、 それぞれの権限と責任で説得するほかはない。 領土問題と慰安婦問題。 この二つは民主党政権にとっては能力を超えた困難な問題だ。 野田政権もメディアも、これ以上大きくならないように封じ込める しかない。 了 ──────────────────────────────── 購読・配信・課金などのお問合せやトラブルは、 メルマガ配信会社フーミー info@foomii.com までご連絡ください ──────────────────────────────── 編集・発行:天木直人 ウェブサイト:http://www.amakiblog.com/ 登録/配信中止はこちら:https://foomii.com/mypage/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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