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天木直人のメールマガジン ― 反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説

天木直人(元外交官・作家)

天木直人

 原発問題を政局に利用する菅首相の責任
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□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年7月7日発行 第489号 ■     ==============================================================    原発問題を政局に利用する菅首相の責任      ==============================================================  いま我々の目の前で繰り広げられている玄海原発再稼動をめぐる大混乱は、 原発問題を自らの延命のための政局に利用し続ける菅首相の責任である。  そのことについて書いてみる。  少し前の7月5日の夕刊フジの「永田町・霞ヶ関インサイト」で歳川隆雄 氏が要旨次のように書いていた。  菅首相は一方において海江田経済産業相に原発再開の嫌われ役を丸投げし、 他方で細野豪志氏を原発担当相に据えて原発事故処理を任せ、主婦層の間で 急速に高まっている「脱原発」の機運を見極めようとしている、いずれ海江田 大臣ははしごを外される、馬鹿を見る、と。  そのことが7月6日の衆院予算委員会で見事に証明された。  突如としてストレステストという安全基準のハードルをあげて玄海原発の 再稼動に待ったをかけたのだ。  海江田大臣が全国を行脚して原発安全を訴えていたのは何だったのか。  安全が確認されたとして原発再稼動に同意した岸本英雄玄海町長が「いい 加減すぎる」、と怒って同意撤回したのも当然だ。  なぜこのような混乱が起きたのか。  それは菅首相の脱原発宣言が「安全性」を基準にして行なわれてきたからだ。  しかし本当の脱原発問題とは、たとえ安全性が確認されたとしても、それ だけで原発を再稼動していいのか、もそも原発を推進していくことの是非を 問い詰めることではないのか、ということであるはずだ。  ところが菅首相そこのところを一切語らない。  なぜか。それは彼が原発問題を延命のための政局に利用しているからだ。  そこを明確にした時点で政局は終わる。原発賛成、反対のガチンコ勝負に なる。  そしてここからが、このメルマガの本論であるが、菅首相は首相にとどまろう とする限り決してそこをごまかし続けるしかないのだ。  だからどんどんと混乱が拡がっていくのである。  今となっては原発問題だけが菅首相の使える政策課題である。  彼がこれまで政治生命を賭けると大見得を切ってきたこの国の大きな政策課題、 すなわち普天間問題や消費税増税やTPPや年金・社会保障問題など、どれ一つ取っ てみても中途半端な形で挫折した。震災復興に至っては松本暴言によって出鼻を くじかれた。  もはや菅首相が指導力を発揮できる政策課題は原発を止められるかどうかしか ない。  ところが菅首相は浜岡原発停止で手にした評価さえも、玄海原発再開容認で 失おうとしていた。  あれほど菅首相を支持してきた山口二郎北海道大学教授ですら、7月3日の 東京新聞「本音のコラム」で浜岡原発に対する海江田経済産業相の動きを見て 菅首相の見識を疑うと言い出した。  おそらく菅首相を今でも支えているのは脱原発の市民団体や社民党系支持者 ぐらいだろう。  その支持を失ったらさすがの菅首相も首相を続けることは出来ない。  だから菅首相は玄海原発を在任中に再稼動させることは出来ないのだ。  しかしまさかその事を口にする事は出来ない。  だから原発の「安全性」に逃げ込むのだ。そしてどんどんと「安全性」の ハードルをあげていくのだ。  この菅首相の卑劣な性根を見抜いて糾弾しているのが古川佐賀県知事だ。  菅首相と違って古川知事は本音のところでは原発容認派だと思う。  しかし今の世論を前にして原発推進を明確に口にすることはできない。  だから彼もまた「安全性」が確認できるまでその結論を引き延ばす。これは 菅首相の戦略をまさに逆手にとって同じ土俵で勝負しているのだ。  その上で菅首相の判断を迫る。菅首相が安全だと判断すれば再稼動の判断を下す。  しかしそもそも原発再稼動の問題は玄海原発だけの問題ではない。これまで国策 として推進してきた全国の原発に共通する問題である。その原発政策を見直すか どうかという大きな問題について、首相の判断を示す事無く、原発を抱えている 個別の首長や住民に決断を迫る、それはあまりにも卑怯ではないか、そう菅首相に 匕首を突きつけているのが古川知事なのだ。  いまや完全に開き直った菅首相を首相の座から引き摺り下ろすことのできる者は 誰もいない。  そんな中で古川知事が原発問題という菅首相のアキレス腱をついて正面から菅首相 の正体を見破ろうとしている。  古川佐賀県知事は菅首相の最強のライバルである。                             了  

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