□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年7月6日発行 第488号 ■ ============================================================== 福島原発被曝者による集団国賠訴訟のすすめ ============================================================== 7月6日の東京新聞「こちら特報部」は次のように政府を糾弾している。 「またもや政府の『情報隠し』だ。福島県浪江町赤宇木(あこうぎ)地区。 文部科学省などが福島原発から半径20キロ圏外で放射線量を測定している 地点のうち、突出して高い値を示しているにもかかわらず、その地名は 一ヶ月間も伏せられた。近隣住民から当時の事情を聴くと、被災者が無防備 に被曝を強いられた実態が見えてくる・・・」 今度の福島原発事故をめぐる政府の対応のまずさや情報隠ぺいによって、 避けられたはずの被爆がどれほど起きているか。 この東京新聞の記事を待つまでもなく、我々は過去3ヶ月の報道でそれを 知っている。 いまこそ全国の人権弁護士たちは立ち上がるべきだ。 福島原発事故によって被曝した住民を糾合し、国に対して賠償訴訟を 起こすべきだ。 しかもその補償を安易な増税で負担させるのではなく、政治家、官僚たち の自己負担で行なわせるべきだ。 かつてメルマガで私は「自衛隊イラク派兵差し止め訴訟」に際する故箕輪 登元衆院議員の言葉を引用し、この国の権力犯罪を阻止できる最後の手段は 裁判に訴えることであると書いた。 原発訴訟もその一つだ。 確かにこれまでにも様々な原発訴訟は行なわれて来た。 直近では浜岡原発の廃炉を求める訴訟なども起きている(7月2日東京 新聞)。 しかし、私が期待するのはエイズや肝炎のように明らかに国の失政、 不作為で犠牲をこうむった被害者たちの集団訴訟である。 かつて私は自衛隊のイラク派兵差し止め集団訴訟の原告の一人として 名古屋の訴訟に参加した。 そこで現実に目にしたのは、政府の政策に不満を抱き、それを差し止める 事を要求する訴訟はことごとく却下されるというこの国の裁判の現実である。 つまり現実になんらかの具体的被害を受けている個人でないかぎり訴える 権利がないという。 民主主義の下では政策を求めるのはそれを実現する政治家を選ぶ選挙で 担保されているからだという。 名古屋の裁判が最後まで審理されたのは、原告3000人の中にただ一人 私が加わっていた、つまりイラク戦争に反対して首になった疑いのある私 だけが一人、国の政策から具体的な被害を受けた可能性があったからだ。 そうであれば今度の福島原発事故については、政府の人災によって被曝 した疑いのある被災者たちが結束して集団訴訟を起こすことが最も効果的 である。 全国の弁護士たちは無償でこれを支えるべきだ。 エイズ訴訟から始まって肝炎やアスベスト被害の訴訟が、最近に至って どんどんと被災者に有利な判決に傾きつつある。 7月6日の朝日新聞は、国がながらく不認定処分としてきた原爆被害者に 対し、何人かを原爆症と認定する判決を東京地裁が下したと報じている。 明らかに裁判の判決が世論を重視する方向に傾きつつある。 あらゆる人災に中でも放射線被曝ほど深刻なものはない。 そしてそれはいま国民の目の前で進行中である。 影響が出るのは何年も先である放射線被曝こそ今直ちにそれを認定させ なければならない。 原発事故ですべてを失った福島被災民の自殺者も国民の目の前で起きた。 政治家、官僚を相手取って福島原発訴訟を起こす時は今を置いてない。 普通の手段では追及できない国家権力の犯罪を追及するのはいまだ。 そうすることによってこの国の政治を変えられるかもしれない。 この国の権力構造を逆転させられるかもしれない。 了

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