□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年7月5日発行 第485号 ■ ============================================================== 「死に体」菅首相の唯一の取り得 ============================================================== 7月5日の日経新聞「混迷一体改革 上」に「消費税増税のシナリオ狂う」 と題して次のような記事があった。 すなわち与謝野馨経済産業相と財務省が当初想定していたシナリオは消費税 を13年に7-8%へ上げ、15年度までに10%とする2段階増税案であっ たという。 4月までに社会保障改革案で社会保障費をまかなう増税の必要性を示した 上で、6月にかけて消費税率引き上げの合意を形成する。 これが与謝野経済財政相と財務省が描いた一体改革論議のシナリオだった のだ。 ところが3月の東日本大震災が起こり政権は一気に震災対応へシフトした。 何よりも6月2日に退陣表明した菅首相の指導力が一気に失われ、与党内の 反対を抑えきれず、野党との協議も進まず、挙句の果てに閣議決定できずに終 わった。 死に体菅首相が居残ることでシナリオが狂ったというのだ。 そういえば同じような事が「日米同盟の深化」についてもあてはまる。 もし菅首相が強い指導力を持って長期政権を目指すことが出来ていれば、 6月の訪米と、それに向けた新日米同盟の宣言が高らかに行なわれていた に違いない。 死に体菅政権を見通した米国は日本に強く出られないのだ。いつまでたって も日米同盟が深化できないのだ。 そう考えると菅首相の延命にも取り得があるということだ。 弱体政権だからこそ、消費税増税も日米同盟深化も先送りとなった。 それにしても、日経新聞のこの記事は、この国の重要政策が官僚主導で造ら れている事を見事に示している。 ここまでの増税シナリオが財務省によって作られ、その舞台裏をメディアが 知っている。官僚の片棒を担いでいるのだ。 対米従属外交もまさしくその通りだ。外務・防衛官僚の言いなりで進められ ている。 菅首相の後に強固な政権ができると、その政権は官僚と結託して消費税増税 や日米同盟の深化を一気に進めるだろう。 この国の政治の真の問題はそこにある。 だからといって菅政権の延命が正当化されるはずはない。 それは展望が見えない不毛な時間の浪費でしかないからだ。 この国の政治を根本的に変えるしかない。 しかし、その姿はまだ見えてこない。 了

新しいコメントを追加