□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年7月4日発行 第482号 ■ ============================================================== 日米地位協定の不平等さを糾弾する朝日新聞の欺瞞 ============================================================== 7月4日の朝日新聞が、沖縄で交通死亡事故を起こした米軍属の男(24) を起訴できない日本の司法の現状を社会面でスクープしていた。 すなわち、今年1月沖縄市の国道で米軍属の男(24)が対向車線にはみ だして会社員(19)の軽自動車と衝突、死亡させるという事故が起きた。 沖縄県警は過失致死容疑で男を書類送検したが那覇地検は3月に不起訴処分 とした。日米地位協定によって「公務中」の犯罪の裁判権は米国にあると決め られているからだ。しかも「公務中」かどうかの判断は事実上米国に委ねられ ている。 ところが、この那覇地検の判断が不当であるとして那覇検察審査会が「起訴 相当」であると議決したという。 検察審査会の議決といえばあの小沢事件を思い出す。検察が不起訴をしても 検察審査会が起訴相当と重ねて議決すれば強制起訴される、あの例だ。 市民感覚を司法に反映させることを目的にして行なわれた司法制度改革の 一環として、裁判員制度とともに導入された検察審査会の権限強化である。 ところが、法務省幹部によれば、「検察審査会法は米軍人や軍属の強制起訴 までは想定していない」から起訴にはならないだろうという。 朝日新聞のそのスクープ記事は、関係者の次のようなコメントを列挙して 日米地位協定の不平等性を訴えている。 「このままでは息子の人生が終わらない」(母親)。 「政府は不平等な地位協定で多くの人が苦しめられていることを知って ほしい」(同級生)。 「日本人なら懲役刑、公務員なら免職されるようなケース」(弁護士)、 「審査会は本当に公務中だったのか疑義を示した。地検は米軍の判断を 鵜呑みにするのではなく自ら判断の根拠を示すべきだ」(渥美東洋・京都 産業大学教授)、 「日本政府は審査会の判断を重く受けとめ。公務かどうかの公正な基準づく りなどを米側に働きかけるべきだ。軍事関係とは別に、人と人の関係は対等 であるべきだ」(本間浩・法政大学名誉教授) ところが、朝日のその記事はそこで終わっている。 決して朝日新聞自らが日米地位協定改正を求めてはいない。 なぜか。 それは朝日新聞が日米安保条約を国是として容認しているからだ。 日米安保条約の本質は米軍の日本駐留条約である。それが日米地位協定 なのである。 そして日米地位協定で米国が最重視するものこそ治外法権なのである。 朝日新聞は本気で日米地位協定の改定を求めることはない。 このスクープ記事は朝日のガス抜き記事である。 因みに米軍属という聞きなれない言葉が繰り返されている。 米軍属とは米兵のことではない。 米兵家族とともに同居している者である。 そこまで広範な米人に治外法権が認められているのである。 日米地位協定の条文のすべてとその解釈を日本国民が正しくしれば その対米従属振りに国民は腰を抜かすだろう。 それほど実態はひどいのである。 了

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