□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年6月19日発行 第431号 ■ =============================================================== 中東はどうなっているのか =============================================================== 中東はどうなっているのか。 一言で言えば米国が米国の中東支配の最後の砦である湾岸産油国の 王制体制に革命の波が波及しないように細心の注意を払いながら、 かつて利用した独裁政権を次々と見捨てようとしているということだ。 これら独裁国家の民衆蜂起を抑え込むことは無理で得策ではない。 せめてこれら諸国の民主化が、反米、反イスラエルにさせてはいけない というわけだ。 クリントン米国務長官は6月9日、カダフィ政権が崩壊に近づいて いるとアラブ首長国連邦の記者会見で述べた。カダフィとの関係を断絶 し反体制派「国民評議会」に協力するよう6月13日、アフリカ連合本部 (エチオピア)で演説した(15日ケープタウン発共同)。 それに呼応するかのように日本政府は反体制派「国民評議会」を 「リビア国民の唯一の正統な代表」と承認する方針を明らかにした (18日カイロ発共同)。 負傷してサイディアラビアで療養中のイエメンのサレハ大統領はもはや 「帰国しない」とサウディ高官が発表した(19日毎日)。亡命したと いうことだ。 米国はシリアの追加制裁を検討し(6月19日毎日)、英国は自国民に シリア出国を勧告した(18日ロンドン発時事)。 それに反発するかのようにシリアの支配から逃れられないレバノンの 政治情勢が不安定化しつつある。 中東はきな臭くなってきた。 その一方で中東情勢の鍵を握るイスラエルとパレスチナの和平交渉が、依然 先行き不透明である。 オバマ大統領の和平提案にもかかわらずイスラエルは動こうとしない。その イスラエルをオバマ大統領もまた本気で動かすことはできないようだ。 このような中東情勢について6月19日の東京新聞の社説は「アラブの春 は遠くとも」という見出しで次のように述べていた。 ・・・「アラブの春」はまだつぼみかもしれません。それでもその歴史の 潮流は誰にも止められないでしょう。その先には中東和平という大目標があり ます・・・理想かもしれないが、そこに本物のアラブの春は遠からじと期待を 込めたいし、春の証とは和平の達成だとも思うのです・・・、と。 その言葉に異論はない。私もそう願う。 しかし私がこの東京新聞の社説に失望したのは中東和平が進まなかった責任を パレスチナの指導者である故アラファトや、いまや米国に見捨てられた中東の 独裁政権にもっぱら帰していることである。 そこにはイスラエルという国の絶対的な不正義に一言も言及はない。 こういう日本のメディアの評論が、中東和平問題の本質を見る目を曇らせ ているのだ。 東京新聞、お前までもか、という思いを禁じ得ない。 了

新しいコメントを追加