□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年6月19日発行 第429号 ■ =============================================================== 菅首相には脱原発解散はできない。してもうまくいかない。 =============================================================== 私の予言通り菅首相は脱原発するという説が公然と語られるようになった。 しかも8月の広島・長崎の原爆記念日あたりを狙って行なうという(6月19 日産経新聞など)。 笑止だ。これは菅側近とそれに加担するメディアの意図的な情報操作だ。 そう煽って反菅包囲網を脅かしているのだ。 私はかつて菅首相が脱原発を掲げて信を問うかもしれないと書いた。 しかしそれは彼や彼の側近の腹の内を読みすかして先手を打って書いた つもりである。 菅首相が本心から日本を脱原発国家に作り変えようとしているのなら納得 する。 サミット以降彼が脱原発に目覚めて考えを変えたのなら、それを宣言して 解散するのもいいだろう。 しかしそうではない。脱反原発を利用して解散を弄ぶことは許されない。 そんなあざとい思惑で解散してもうまく行くはずはない。 そのことについてもう少し書いてみる。 菅首相の継続を望む者は、浜岡原発を停止させた「功績」を称える。浜岡 原発停止をしたからこそ猛反発をくらって、そこから菅おろしが始まったと 聞いたようなことを言う。 星浩朝日新聞編集委員が6月18日の朝日新聞「政治考」の中で、側近の 受け売りをして「原子力の既得権益グループの『虎の尾』を踏んだのかもしれ ない」などと書いている。 そして「思い切って脱原発を打ち出し、既得権益勢力と戦うべきだ」などと いう辻元清美の言葉を引用しながら原発解散を勧めている。 最近ではすっかり菅首相のちょうちん持ちとなった感のある山口二郎北海道 大学教授だが、その彼は6月19日の東京新聞「本音のコラム」で書いている。 「権力欲は美徳となる。それが脱原発という正しい方向に日本を導く覚悟を決 めた上での政権固執であるのなら」、と。驚くべき牽強付会だ。 菅直人は危ないから浜岡原発を停止せよと言っただけだ。安全を確認したら 再開すると言って来た。 その立場は今も変わっていない。その証拠に海江田大臣は今夏の電力不足で 国民の不満が高まらないうちに慌てて原発「安全宣言」をした。そして原発 再稼動を地元自治体に要請した(6月19日各紙)。 そしてその背景には経産省や財界への迎合がある。 菅首相が山口二郎氏の言うように既得権側と戦う腹を決めたというのなら 海江田大臣を更迭しなくてはいけない。 それをしないのなら、海江田大臣の言動は菅首相が了承したということだ。 菅内閣の政策なのである。 私の反原発論と菅首相のそれは根本的に違う。私は今度のフクシマ原発事故で 核物質は人類とは両立しないことに気づいた。だから反原発論者になった。 即時全廃を声高には要求はしないが、長期的で周到なエネルギー政策の転換に よりこの国から原発をなくすべきと考える。原発なくしても、国民生活も経済 活動も十分にやっていけるようにすべきだし、できると考える。 それは原子力発電所の安全性が向上し、安全性が確保されれば原発を維持する という菅首相の考え方とは根本的に異なる。 この根本的な違いは当然のことながら核抑止力に対する政策の違いにつながる。 私は米国の核の傘を重視する日米同盟に反対する。もちろん核武装など論外だ。 しかし菅首相は核抑止を前面に掲げる日米同盟を重視する。日米同盟反対 などとは決して口にしない。それどころか鳩山首相を反面教師として、自民党 でさえもそこまでやらなかったような対米従属を進め、沖縄を非情に切捨てよう としている。 解散をした場合、菅首相はこの矛盾をどう国民に説明するのか。できるのか。 それよりもなによりも、菅首相は消費税値上げを言い続けている。 菅首相の肝いりで作られた復興構想会議は増税を貫き通すらしい。6月22日 までに報告書を提出するという(6月19日各紙)。 もちろんTPPを平成の開国だと言ってきた菅首相はその持論を変えた節は ない。 これでどうして解散ができるのか。解散して国民の支持が得られるというのか。 と、ここまで書いてきて気づいた。 これらは朝日新聞の方針そのものだ。 菅首相はまるで朝日新聞のあやつり人形のようだ。 了

新しいコメントを追加