□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年6月9日発行 第399号 ■ =============================================================== もし菅首相が福島原発事故の深刻さをサミットで正しく伝えていたなら =============================================================== 6月9日の毎日新聞「記者の目」で東京科学環境部の関東晋慈と いう記者が的確な指摘をしていた。 彼はまず、ドービルサミットで原発の是非が議論されることなく 「玉虫色」の決着に終わったことを指摘する。 サミットの際に行なわれた日米首脳会談後の記者会見では日米両 首脳は原発政策に触れることなく、握手で別れたことを指摘する。 サミット冒頭で発言した菅首相は、原発政策の維持を表明する一方 で再生エネルギーの発電比率を『20年代のできるだけ早い時期に 少なくとも20%超の水準とする』とも述べ、どっちつかずかの立場 だったことを指摘する。 ここまでは皆が知っている事だ。さんざん書かれたことだ。 私が注目したのはその後に続く彼の次の言葉である。 「・・・国際基準で最悪の『レベル7』という放射能汚染を経験 した日本(を代表する菅首相)は過酷な現場の実態を伝えず・・・ いまなお事故収束の見通しは立たず、多くの人々が避難を余儀なく され、土壌汚染など長期にわたる放射能との闘いが続(いている) ・・・フランスの原子力政策コンサルタントであるマイケル・シュナ イダー氏も次のように述べている『住民避難や農業への影響など、 放射能漏れ事故には、様々な過酷な側面がある。今の原発は、起き るかもしれない危険性があまりにも大きい』。まさに日本で進行して いる危機そのものだ・・・ その上で関東記者は次のように述べている。 「G-8に期待されるのは国益のぶつかり合いではなく、国益を 超えた世界益に資する役割だ。首脳たちが危機意識を共有すること なくして、国益を乗り越えるのは難しい。それが今回の結果だった」と。 そうなのだ。 菅首相は国益を乗り超えてサルコジとオバマに訴えるべきだった。 何よりも菅首相は私益を乗り超え、保身を捨てて、脱原発を明確に すべきであったのだ。 そうならば、おそらくサミットも違うものになっていただろう。 世界がもっと注目しただろう。 福島原発事故はそれほど深刻だった。そしてそれは今も続いている。 その認識が菅首相になかったこと、そして今もなおその認識がある ようには見えないこと。 そのことが残念でならない。 了

新しいコメントを追加