□■□■【反骨の元外交官が世界と日本の真実をリアルタイム解説】 ■□■ □■ 天木直人のメールマガジン2011年6月1日発行 第380号 ■ =============================================================== 何度でも言う。脱原発は脱核兵器に行き着かざるを得ない =============================================================== 今日(6月1日)の読売新聞に安部順一編集委員の書いた 「原発 テロ対策急務」題する記事があった。 そこに書かれていることは、菅首相が出席したサミットでも 日本とEUとの首脳協議でも、主要テーマは原子力安全だった ということだ。 ここまでは、さんざん報道されてきたことだ。 しかしこの安部編集委員の書いていることは、同じ原子力安全の 問題でも、日本と違って欧米の関心は原発テロであったということ だ。 サミットでも、原発のテロ対策について「一部の国から指摘が あった」(福山官房副長官)という。 ところが東電のホームページでは「原子力発電所は構造所、 航空機の落下を想定して設計されていません。設計における考え方 は、航空機が原子力施設に落下する確率がきわめて小さいことから 設計上は必要ない、というものです」と書かれていたという。 すなわち日本政府もメディアも世論も天災への対応ばかりを心配 するがテロへの危機感に欠けている、と安部氏は言いたいのだ。 そして安部氏は次のようにその記事を締めくくっている。 「・・・日本では平和利用は『原子力』、武器は『核』と使い分 けるが欧米ではどちらも(NUCLEAR)と同じ言葉だ。だから こそテロ対策に目が向く。核を扱うのと同じ緊張感を持って、原子 力安全を考えるべきである」、と。 偶然にも、安部氏のこの記事を掲げた6月1日の読売新聞は、 外交面で次のような記事を掲げていた。 すなわち米国防総省が6月中にも公表するサイバー戦略に関する 報告書の中では、外国政府からのサイバー攻撃を「戦争行為」と見 なし、米軍による武力行使も辞さないという新方針を明らかにする という。 5月31日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版) がそう報じたという。 発信地を正確に特定できないサイバー攻撃まで武力行使するという 米国はもはや無茶苦茶であるが、それほど脅威であるということだ。 安部氏の前述の記事の中にも次のようなくだりがある。 「フクシマは原子炉の冷却用電源が消失する恐ろしさを見せつけたが、 今後はサイバーテロへの備えも重要になる。原発地基地内に侵入しなく ても、ハッカーがシステムに侵入し、電源を切ってしまえば同様の危機 が起きかねないからだ」、と。 なるほど、米国がそこまでおそれる理由がわかる。 脱原発は脱核兵器にまで行き着かざるを得ない。そのことをやがて 米国も気づくことになるだろう。 その前に日本はその事に気づかなければならないのである。 了

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